(395) 格安 延寿 (L.C.L.) とは?

(395) 格安 延寿 (L.C.L.) とは?

  昨年 12 月 20 日、朝の NHK は 千葉県の「老人医療の混乱」を取材していた。

♣ 同県では、所によって老人の人口比率が 40 % を越え(日本の平均値は 20 % 程度)、これにより 老人の救急医療、特に脳卒中・ 誤嚥性肺炎の対応が困難で、医療陣の拡充が深刻に求められているが、それは “不可能だ” と言う。なぜって、予想される必要経費受益者負担 の能力を遥かに越えるからである。

♣ 私はこれを聞きながら思った: 真の解決は “格安延寿” しかないのか?と。格安延寿とは “需要供給 の労力と 経費を安く工夫して延寿に対応する方法” で、この命名はパール職員の提案によるものである 1)

♣ 今、航空の世界では「安全で安く ! 」という標語の下に「格安航空」 (Low Cost Carrier ; LCC) というサービスが実現している。これをもじって「格安延寿」 (Low Cost Life , L.C.L. なる言葉が提案される。それは こう言うことだ――: 介護保険の経費で、「要介護 5 」お一人年間予算が 約 500 万円 であるが、日本の サラリーマン の平均年収は 約 420 万円 :この額では 要介護予算が高すぎて、福祉活動の維持が逼迫 (ひっぱく) する(つまり、今の介護は 高額延寿 = High Cost Life ! である)。でも、もし格安延寿(LCL = Low Cost Life ! )が可能であれば、より多くの高齢者需要に資することができる。{文末の マザー・テレサ を参照}

格安延寿(LCL)とは?

♣ では 具体的対応はどうするか? : (イ) 先進 諸外国でも少子高齢化は発生している → 諸外国での解決法を参考にする 5) : (ロ) 人類の自然死を勉強する2) ——延寿が無料のままなら、長生き要求は際限なく高まるし、点滴・ 胃瘻の需要は ウナギ登りである → これでは 高額延寿(High Cost Life)であって、税を負担する若者が疲弊 (ひへい) する。

♣ (ハ) 今、人の天寿の考え方が変わってきた: 延寿とは高齢に高齢を重ねることではない ! → がんらい人は 汗水流して働き、子孫繁栄を果たすことで社会に貢献してきた; つまり「人の天寿とは = 働き、子孫を残し、社会貢献が可能な限りの人の年齢である」; こう考える人が増えてきた。

♣ もし高齢や病弱で社会貢献ができないのなら、「つましく質素な生活」をすべきであろう。これら (イ) (ロ) (ハ) を考え合わせると、安定して持続可能な社会とは「入るを計り出る (いずる) を制する」、しごく当然な原理が実現できる社会である。「出る (いずる) 」(= 介護給付を増やす) を言い張るだけではバランスを欠く。

♣ 先回の安全管理:「無料化とモラル・ ハザード」 3 ) で学んだように、もし老人が ご自分の「数十年にも及ぶ」延寿経費を 現今のように若者からの税へ依存する賦課 (ふか) 制度であれば、老人繁栄・ 子孫衰亡で 国は必ず衰退して行く。日本の敬老借金はもう限度を越えた (一千兆円の借金 ≒ ギリシャ危機と同類) ;それゆえ 以後の老人は「格安延寿へ移行」しなければ「国は介護倒れ」に陥る。本文冒頭・ 千葉県の医療混乱例はその一端にすぎない。

♣ 中部大学の 武田邦彦教授 は個人の社会貢献の有無の視点で、今後の天寿とは、現行の 90 歳 や 100歳 以上などではなく、「戦前のように “50 歳 前後” に戻るのか? 」とおっしゃる 4) 。「50 歳 の意味」: 男女は更年期を迎え、以後 人は繁殖を卒業、したがって「生命進化へ貢献する道」からも離れ、また 遺伝子は子を産まない生命を積極的に守らなくなり、動物一般にとっての天寿にも相当してくる。 更年期以後、病気がちになるのは「理 (ことわり) 通りである。

♣ 教授の「天寿 50 歳 説」の提案が “行き過ぎ” なのかの問題はあるが、天寿が 50 歳 では 低過ぎると思う人は、何歳なら天寿として国や社会の安定存続に反せず 容認・ 妥協できると思うか?  

要約:    どんなに美しい言葉で説得されても、老人人口率が 40 % に及べば、老人の救急医療は不可能となる。 ひっ迫する医療・ 介護の受け皿を救う方法として考え出されるのが「格安延寿」LCLである。 それを実現している先進国の実状を (イ) (ロ) (ハ) で紹介した。
  
参考: 1) 新谷:「空を飛ぶ夢、長寿の夢、格安延寿」; 福祉の安全管理 # 379, 2012. 2) 新谷:「介護で言う常識は公明正大か?」; ibido #387, 2012. 3) 新谷「無料化と モラル・ハザード」、 ibido # 390, 2012. 4) 武田邦彦:「再び‘天寿’と男性の健康について」、2012.12.9 Yahoo のBlog. 5) 新谷:「寝たきり老人ゼロ作戦」;ibido # 592, 2016.

職員の声
声1: この「格安天寿」なる名称はアイディアも言葉の響きも良い;その上、人が社会貢献して生きさえすれば延寿の上限はないという点、まことに気分が晴れる。

声2: 天寿はボケた時の齢でどうか?(係り: 最近、ヒトは "二度死ぬ" と言われる … 一度目は「脳が壊れる時」、二度目は 体が痩せ細って「体格指数が 12 になる時期」だ 5) 。一般動物はボケた時が天寿だ)。

声3: 天寿の設定は「死生観」によって変わる;意思疎通が全くなくなった高齢者でも、家族は「体温がある限り」、天寿は まだ先なのだと主張する(係り: 国の福祉予算に甘える気持ちがあるから迷うのだ。延寿資金が自己負担ならば 迷う心が整頓されてくるだろう)。

マザー・テレサについて:
テレサはマケドニア生まれの カトリック修道女、21 歳 でインドにおもむき、組織的な救貧活動を精力的に続け、その功績により 69 歳 で ノーベル平和賞 を受け、87 歳 で没した。彼女は 私どもが言う「格安延寿」の先駆けであり、パールの見習うべきお手本だと思う。何をするのにも「お金がない、政治家が動かない、社会偏見がある . . . 」などを 皆がつぶやいていたのでは、日本社会を救うことが出来ない。

3年後の「職員の声」 2016.10.4

声1: 日本の福祉は「質と量」の需要に押し潰されている(係り: 日本人の器用さでこれを乗り切っていたが、増える老人の 無体な延命希望 が正当化されたら空恐ろしい事態が訪れるだろう)。

声2: これからの時代は「元気で長生き」ではなく、「元気で短く」が一番となるよ … 認々介護・ 老々介護は当然である(係り: 長生きする「権利」があるのなら、自立する「義務」も当然であるであろう)。

声3: 老人に「受益者負担」を強いても それはムリだろう(係り: 大わかり … でも問題は老人を支える若者が重税のために貧乏になっている現実 ――若者は結婚さえ困難な時代なのだよ)。

声4: 日本は長寿万歳の国だから、「老人繁栄・ 若者衰亡」に瀕し、その解決は ① 若者減税、② 給付の節約、③ 長寿禁止 の組み合わせになるのか?(係り: 人の命は地球より重い、と元総理大臣(福田赳夫氏)が公約されて以来、組織も職員もビビッテしまい「建て前と本音の区別」が出来なくなり、めまいがして、① ② ③ の選別さえ出来ない)。

声5: 死の受け止めが出来ないのが 混乱の元 であろう(係り: 今の老人のそんな甘えを社会が許しているのだから、原因は 国民相互 甘えの構造にあるのではないか)。

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ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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