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(612) みんなが 長生き したら?

   (612) みんなが 長生きしたら?

みんなが長生き? みんなが金持ち? みんなが腹いっぱい?こう聞くと問題がありそうだ。

♣ その通り ! 「みんな」の部分が曲者(くせもの)のようだ。だって 「長生き・ 金持ち・ 腹いっぱい」 だけなら、とても望ましいことではないか? では代わりに 「一部の人が」 と言い換えれば耳当たりが良くなるか?… 「一部の人が長生き?」… なんだか 社会格差 を語っているようで、更に具合が悪くなるような気がする。今日は「長生き」を種(たね)にして、四つの見地 から見た意外な矛盾を展開してみよう。

① 日本の長生き : ――簡単な高齢化率(65歳以上の割合)を振り返って下にご披露する;―
→ 日本の高齢化率は 厚生行政と密接な関係があるようだ。高齢化率は、

1950年―---- 5 %、人生 50 年 の時代; 昔 そもそも老人は少      なかった。             
1980年代――10 %、戦後の 「平和」 効果、しかし先進緒国中では最下位 !
1990年―――13 %、先進緒国で中位、1982 年 の 「老人保健法」 施行の効果 !
2005年―――20 %、2000 年 の天下に誇る 「介護保険」 5 年後 の効果 !
2015年―――27 %、世界最高 ! 介護における 「食事介助や延命胃瘻」 の効果 !
2060年―――40 %、推定値、国民の 5 人 の内 2 人 は老人となる予定 !

日本の高齢化率は徐々に上がったのであり、行政行為が必ず先行 していたことが分かる。

みんなが 長生き したら?

♣ このまま行けば、2060 年 には 5 人 のうち 2 人 が馬齢(ばれい)老人 1) となるが、福祉家の中には次のような意見の人もある 2) :――「その頃には、年間死亡者数の 95 % が 65 歳 以上の高齢者になる。地域のあらゆる資源を 総動員 して、地域ぐるみで高齢者を支えるという 地域包括ケアの推進 が医療・ 介護の 最重点課題 になるのは必然的だ」。世界最高の高齢化率を誇る日本が高齢者の数を今以上に高く支える意気込みは凄いことである ! 

② 世界の趨勢: ――^ 図 1 を見ると、先進諸国の高齢化率は戦後の 1950 年頃 からほぼ一様に上り坂になっており、平和効果 が歴然としている。しかし、日本は図の一番底から勢いよくテッペンに上りつめており、その増加率は並みではない。その原動力は何だと思うか?介護保険スタートの 2000 年 よりも以前の 1960 年頃 から増え始めているので、小児死亡率の激減が関与した可能性もあるだろう。 

みんなが 長生き したら?

③ 人口構成の問題点: ―― 図 2 は人口の 3 構成 を示す。(子供)・ (就労者)・ (老人)の推移が見て取れる。 /// 子供は1980 年 を境目として減って行く一方であり、これは「望ましくない事」なのか、「当然の事」なのか、意見の分かれる所であり、以下の ④ で再検討する。 /// 就労者は社会を牽引するエンジン馬力だ。 2000 年 までは増え、その後の馬力は 1/3 にまでに減り、相対的に増えるのは 「馬齢」 1) ばかり !

/// 老人は介護保険の始まる 10 年前 の 1990 年 から増え始め、高齢化率は将来の 2070 年 まで上がっていく。 /// 就労者が減っていくことは、もろに社会の 「富」 も減ることを意味する。仮に子供の数を図の左半分のように、戦前並みに増やすことができても、将来の人口構成は抜本的に変わることはない。国民のみんなが このことを覚悟して将来 勤勉・節約 に努めなければならないのではないか。

みんなが 長生き したら?

④ 長い目で見ると: ―― 2050 年 と言えば あと 33 年 ;今 32 歳 の職員が 65 歳 の老人になる年だ。このことを 図 3 で指さしてみよう … その頃の日本の人口は 1 億人 を割り込み、高齢化率は 40 % に近く、老人飽和状態となる。その先 2100 年 には人口が 1 億人 の更に半分の 5000 万人 と推計されている。参考までに欧州の人口を記載すれば
   独: 8.2 千万
   英: 6.5 千万
   仏: 6.4 千万
  スペイン: 4 千万
である。図 3 を見てあなたはどう思うか?日本人口は明治に比べ 4 倍 近くに跳ね上がった。2004 年 にピークを迎えた後、今は図の下降脚にある。この下降脚にあることは 「不当 ! 」 なのだろうか?それとも従来の上昇脚を更にさらに上りつめて行くのが「正当」なのか?日本の地政学的な位置から見て、ヨーロッパ並みの人口でも良い、と考える人も少なくない。

♣ もしそうだとすれば、日本が今直面している 「多々老」 の問題もヨーロッパ風の解決法が適切になるだろう。つまり、悔しいことながら、総人口の縮小は “やむを得ない” 現実となり、この場合、「みんなが長生き」 という標語は引込めざるを得ないのである。 1858字 

要約:  戦後、先進国の 「高齢化率」 は一様に延びて来たが、日本のそれは 5 % → 27 % → 40 % と、特に著しい。 老人は増えたが 就労者・ 子供 は減って行き、福祉社会の今後を占う上で大きな問題が横たわる。 総人口は 減って欲しくないのか・ 減って当たり前 なのか、その論議が “騒がしい” 現代である。

参考: 1) 新谷:「馬齢(ばれい)と福祉」;福祉における安全管理 # 593, 2016. 2) 山崎泰彦:「地域包括ケアの推進と高齢者医療・国保制度改革」、こくほ随想 :2012年 # 11。

職員の声

声1 : 長生きに異存のある人はいないだろうが、「みんなが」 「他力本願で」 長生きしたいと思うから社会が不安定になる(答: 言葉を換えて言い直すと 「誰もが」 「召使いに囲まれた」 生活をしたい、と同じように非現実的な願いが横行しているーー日本の今はそれが出来ているが、じきに破産する)。

声2: お年寄りが健康寿命で過ごして頂けるなら、予算的な不具合は最少に抑えられる(答: お年寄りに健康寿命を求めることは 晴れた日に雨が降るようなもの。いま日本には依存寿命の要介護者は 400 万人を越え、やがて 800 万人に達するーー経費は 10 兆円で国防予算の 2 倍)。

声3: 超高齢の日本では、健康寿命が終わった時点で コロッと 逝くのが一番ではないか?(答: つまり女性なら 75 歳・ 男性なら 71歳 を生存の上限とするわけだ ... 憲法違反になりますゾ ! )。

声4: 長生きに異存がないのなら、みんなで何とかしてこれを 継続・発展 させようではないか ! (答: 賛成、ただし日本は儒教(じゅきょう)の国 ... つまり 「子は親を支えるために産み落とされた存在」であるから、よほど肝を据えてがんばろう)。
プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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