(56) 三つのうち、どれを捨てる?

  (56) 三つのうち、どれを捨てる?   

  立花 隆 氏(たちばな たかし・評論家)をご存知ですね。彼は日本医師会に特別な関心を持っていませんでしたが、ある日 講演を頼まれ、しかたなく資料を読み始めると、自分の福祉に対する狭量さに恥ずかしい思いをした、として、次のように述べています。

♣ 時の厚生省保険局長・吉村仁は1973年に「医療費亡国論」を唱え、自民党とマスコミがそれに同調し、以後、医療福祉費は削られ、予算は道路建設費に回される運命になった。しかし、資料をシッカリ読んでいるうちに、それがいかに事実の歪曲(わいきょく)であるかが分かってきた。とりわけ、医療事故の実態・警察介入による紛争の増加・医師の病院勤務医の過重労働の実態、産科・小児科医の問題などなど、日本の事態は医療破綻国の道を歩んでいる。

♣ 資料の一つに「若手医師匿名座談会」の記事がある(中央公論 2008年1月号)。「国民のみなさん、まずはあきらめてください」がその記事である。まず、これまでの日本の医療水準を保つことは、吉村仁に始まる厚生行政では、何をやっても無理だということが分かる。そのうえで「何をあきらめるか」について国民が合意することが必要だ、と言います:つまり、① アクセス(遠い距離)、② クオリティ(質)、③ コスト(価格);このうち、どれを捨てるのがよいか?

♣ ここで私は皆さん方にお聞きしたいと思います:これら三つのうち、どれを捨てましょうか? 何か一つを捨てないかぎり、日本の医療は、間もなく破綻してしまいます。

♣ 病院まで遠距離を我慢するか、先進国並みに医療費を増やして価格を我慢するか、イギリス並みの3カ月待ち時間にして手術待ちの長時間をこらえるか。

♣ このままで行くと、日本は間違いなく「医療破綻国家」になります。ありうる未来像は:A= イギリス型崩壊(大いにありうる)、B= アメリカ型崩壊(小泉改革の市場原理、つまりお金がなければ診てもらえない)、C= インド型崩壊(そもそも整備が遅れている)

♣ サミット8カ国で調査すると、日本の土建事業費は他の7カ国の総計よりずっと多いです。つまり、吉村仁は福祉予算費を道路建設業費に回すことにした結果、日本の政治家にとって、土建事業は「おいしく」、福祉事業は「おいしくなく」なったのです。それは正しい民主政治の姿を反映しているのでしょうか?

♣ 私見ですが、日本国民は、きっと上記の三つ ①②③ とも捨てないよう努力するだろうと期待します。 (参考:立花隆 医療政策シンポジウム 日本医師会 平成19年。パール安全管理 (41) 治療 看護と介護)。

職員の声

声1: この狭い日本に、既存の国道に並行した高速道路、一日に一便しか飛ばない空港、船が来ない港を整備する建設予算を、元の福祉予算に返して下さい(係り:政治家はハコモノをつくれば、票につながるのです)。

声2: 医療は全体的に崩壊ですが、とくに救急・出産・小児医療の崩壊は日本の将来に不安の影を投げかけています(係り:福祉を政治家の票につなげるためには、どうすれば良いのでしょうか?)。

声3: 基本的考に「日本の工業や医療は安心して頼れるレベルにある;買い叩いても質は落ちないだろう」という考えが はびこっているのではないでしょうか? (係り:すでに買い叩かれているので、質は落ちています;外国人が日本の一般病院を見て、驚きます)。
プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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