(628) 健 康 寿 命 を 長 く し よ う

(628) 健 康 寿 命 を 長 く し よ う

皆さん方ご存知、「平均寿命」とは 今 産まれた赤ちゃんが あと何年生きられるか、を示す用語で、2000 年以降、全世界的に用いられている。

♣ 日本の平均寿命は世界一高くて、昨年度の集計で女性は 86.61 歳・ 男性は 80.21歳 である。世界一なのだから 日本の男女はこれで満足するかといえば、どっこい、もっと長生きしたいのだ。しかし平均寿命って何だ? … これは 「死なないでいる期間」 のことである。というと?

♣ 平均寿命は 「健康寿命」 と 「依存寿命」 に分けて考えられる。前者は、健康で活動的に暮らせる期間; WHO (世界保健機関) が提唱した指標で、平均寿命から、衰弱・ 病気・ 痴呆などによる介護期間を差し引いたものである。つまり元気で活動的な人生が健康寿命であるから、誰だって生きている限り健康でいたいのが当然である。だが、現代の高齢時代、いつかは人さまのお世話の元で生きるだろう。それを 「依存寿命」 と呼ぶ。

♣ 依存寿命は案外に長く、男 9 年・ 女 12 年に及び、これも世界一長い。つまり日本の平均寿命は長くて鼻が高いが、依存寿命(病気期間)も長く、これはあまり威張れるものではなかろう。だから人々に意見を訊くと 「私は健康なまま死にたい」 とおっしゃる。そこで私は訊ね返す … それって健康寿命 “だけ” でいいの? ―― つまり女性で言えば 「74 歳」 でポックリ逝き、その後の依存寿命 12 年間 を放棄するってことが希望なのか?すると彼女はけげんな顔で答える … 「依存寿命の全部を健康寿命に変換して、健康なまま長く生きていたい ... 依存寿命なんていりません ! 」。

♣ 冗談でしょう?人は死ぬ前に何年間かは他人に支えてもらう 新時代 になったのだ … 介護保険はそのために創られた制度である ! 昔なら、だらだら病気を長引かせる 経済余裕 なんて無く、元気さが終ったらすぐ逝ったものだ。しかし戦後、人生 50 年 時代から人生 100 年 時代に向かうにつれ、健康寿命は確かに延びたが、あたかも影を引くように依存寿命も延びて来た。

♣ 依存寿命を好む人はまず居ない … だが、いざ自分が依存寿命の身に陥ったらサッサと逝ってしまうことを望むか?と尋ねれば、実際はまったく逆。依存だろうと病気だろうと、何が何でも 死にたくない のが人情なのである。今は健康保険も介護保険も、あまつさえ冷暖房も完備する時代であり、それに背を向けてサッサトと逝きたい人は まずいない。
健康寿命を長くしよう

♣ 依存寿命を減らしてその分を健康寿命に振り換える工夫はいろいろある。それを主張する代表的な 3 人 に登場を願おう。 40 歳 のスポーツマン === 体を動かし足腰を鍛えれば元気な長生きは確実、認知症も防げる → :これは希望であって現実は異なる。商業的なスポーツは過剰負荷が寿命に差し障るし、認知症が防げるという事実もない。

50 歳 の福祉行政官 ===  禁酒・ 禁煙、成人病を防ぎ バランスの取れた食生活を実行する → : 統計をとれば “その通りの百点満点の答” だ、しかし人々は机上の建前論を聞き飽きている。

60 歳 の大学教授 === 依存状態になる原因は 図 1 の通りであるから、その一つずつを潰していこう :潰せるかどうかを確かめてみよう ... だが、これらはすべて「加齢現象による運命」であるから、これから逃れるためには 「齢をとってはいけない」 しかないではないか ! 医者や学者が大真面目にこう教え、素人はそれを聞いて、私 なんとかがんばります、 と騙される。

健康寿命を長くしよう

♣ 否定ばかりしていては生産的ではない。そこで、せめて「健康長寿の 10 ヶ 条」を紹介してみよう(図 2)。これを一項目ごとに見ると、「万能の人生訓」 を抽象的に仰ぎ見るような気がする。つまり、「依存寿命」を避けるためには聖人君子のような努力が必要なのであり、たぶん、多くの人は 「落第」 候補生だ。その上、統計によると認知症の発生頻度は … 85 歳 で人口の約半数、100 歳 で 8 割 が罹患する。つまり現実的には「寄る年波」に勝つのは容易ではない … ここでも やっぱり「齢をとってはいけない」となるのだろうか?

♣ パールではこのことを踏まえ、介護保険の対象以前で 引き籠りがちな高齢者 グループに図 2 に見られるような内容の練習を 3 年 まえからに開始している (“パールライフ活動”と呼称) 。保険適用ではないから、食事代や活動経費の実費を頂き、毎日 11am ~ 3pm の4時間、「過ごす居場所」 を確保、自主的な参加 とクラブ活動を楽しんでもらっている。これにより社交性も養われるので、調髪・ 衣服・ 言葉づかい など、初期に比べて数段も 「年寄り臭さ」が抜け、健康寿命の延長を目に見るような成功を収めている。1861字 

要約:  人の寿命は「健康寿命と依存寿命」の 2 成分 に分けられる。 依存寿命は案外に長く、男 9 年・女 12 年に及び、支える若年者側の社会的重荷となる。 健康長寿の 原則を述べるのは楽チン、それの実行は なかなか困難、一項目でも実践する事の大切さを日々実感する近年である。

職員の声

声1: みんなが言う「長生き」とは「依存寿命」のことだったのか?それなら欲しくないな(答: そう言っていた人たちも、いざご自分が依存寿命に陥ると、病院通いに熱心になる――人はもっと正直でありたいね)。

声2: 訪問先のご家庭は「健康寿命」でない人たちが主力である … もう健康寿命に戻れないのか? (答: そもそも介護保険は要介護の老人を対象とし、その依存期間を長くすればするほど介護は優秀だ、と評価される。だから、利用者の老齢からみて、健康寿命が回復する日は来ない)。

声3: 依存寿命が長すぎるのは問題だ … 私は自分の依存寿命を自分で決めて書面でしたため、その日程を過ぎたら死ぬ日を家族と医師に決めてもらう(答: 日本はオランダではないから、「死の指示」は法律違反であり、関係者はお縄頂戴となる)。

声4: 健康寿命を終わった人は 他人依存によって本当に人間らしい人生を送れるのか?(答: 「人間らしい」 の定義は何だろう? たとえあなたが 「人間らしくない人」 と断じても、当の本人はそれでも生きていたいのである。



プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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