(624) 昔と今のお年寄り

(621) 今の老人は昔より30歳年長 ! 

  お年寄りとは、何歳から?

♣ 誰も正解を持っていないけれど、2,000 年 まえのローマでは 40 歳 (元老院 = 国会の資格)、織田信長は 49歳 (有名な本能寺の事件)、干支(えと)では 60 歳(還暦)、介護保険では 65 歳 (一号保険者の資格). . . 。どの年齢も人為的に 区切り良く決められている。

♣ 昔の日本には「家督」 (かとく)というのがあって、その家のお父さんが一家の総代表を勤め、近所付き合いから税金まで、すべてを取り仕切っていた。そのお父さんも還暦になると「隠居する旨」を役所に届け出ると、家督はふつう長男に移った。

昔と今のお年寄り

♣ 税金などの義務から解放されるので、還暦のお父さんは「横町のご隠居さん」となり、「物識り爺さん」として町内の人気者の代表格となった。女性も同じくで、「お婆さんの知恵袋」をお嫁さんや近所の若い娘たちに分け与えて尊敬されたものだ。

♣ この良き懐かしき隠居や家督は 71 年前の終戦とともに姿を隠 した。それが本格的に消え去ったのは 53 年前の 「東京オリンピック」 開催の頃である(1964 年)。その頃、テレビ放送は白黒からカラー受像に変わって全国に普及し、「ご隠居の仕事」も「お婆さんの智恵袋」も、テレビ番組が全部 変えてしまった。

♣ 若者たちはテレビさえあれば、ほとんど日常生活で困ることはなくなった。さらに 2000 年 の介護保険のスタート 頃からインターネット、続いてスマホの普及: 目まぐるしい世相の変化に、若者でさえ追随に息が切れた。

♣ そんな時代でも、親は大事だ。昔の親は 55 歳で定年、恩給をもらってのんびり過ごし、60 歳になると「還暦」と称して 赤いチャンチャンコをもらい、一族のお祝いを受けたものである。だって、その頃の平均年齢は 50 歳に満たなかったから、60 歳 の還暦はとても貴重だったのだ。一族の中でも数少ない還暦のお年寄りは「風呂も温泉も」大好き、「畳の生活」も大好きだった。 ♪♫♬ おーはら庄助さん、何で身上 (しんしょう)つーぶした? ♫♪ 朝寝・朝酒・朝湯が大好きで ♪♬ そーれで身上 つーぶした、あどっこいしょ、どっこいしょ ♫♬ 。

♣ ところで今、お年寄りは 「朝寝・朝酒」なんてとんでもない、お風呂は面倒で疲れる、温泉は足元が滑るので危ない、畳はいったん座ると一人で起き上がれないから敬遠する 。パールの 19 年前の新築時には、畳部屋を数か所こしらえたけれど、その後まったく利用される気配はない。いったい、お年寄りのイメージは いつから、こんなに変わってしまったのだろうか?

♣ 考えてみると. . .昔のお年寄は 「還暦」 で代表、今のお年寄りは 「米寿」 で代表。お年寄りという「同 じ言葉」を使っているけれど、「中味は親子ほどの違い」 がある。つまり、昔のお年寄りは 60 歳(認知症なし)--今のお年寄りは 88 歳(半数は認知症)、この違いが 「今時の親は手が掛かる」 という嘆きに繋がるのではないか。

♣ でも、お年寄りにも「人間の尊厳」がある。単に若者たちに支えられるのでは、心地よくない。私たちだって、やがて年寄りになるではないか ! そこで、私たち自分自身も将来への教訓を読み取ることにしたい。

♣ つまり若者と言えども、社会の変化に適応する努力を続けて、将来 恰好良いお年寄り になることを目指さねばなるまい。片意地になってパソコン・アレルギーを押し通そうとせず、また流行に甘えた体力の無駄遣いもせず、時代にしっかり適応したスマートな老人になれるように心掛けたい。

要旨:  お年寄りの年齢区切りは時代によって様々であり、必ずしも 還暦~米寿 とは言えない。 爺様・婆様 の社交的な役割が変わったのは、東京オリンピックの年(1964 年であり、カラー・テレビ が普及した時に遡る。 感覚的な年齢で代表すれば、今の親は昔よりも 30 歳程 年長であり、同 じ「親」という言葉を用いるけれど、実際は 「祖父母ほどの年齢差」 がある。この差をよく理解して親子のイメージの混乱を避けようではないか。

参考:  新谷:「長命を四つの道で支える」; 福祉における安全管理 # 614、2017.

職員の声

声1: 近年の老人はナゼ自立心が希薄なのか?(答: それは我々が敬老精神に富み、「負んぶに抱っこ・ 乳母車」 をちっとも嫌がらないからだろう。

声2: 「老人」 という言葉は失礼だ …せめて 「高齢者」 と言い換えたい (答: 小泉・元総理 は 75 歳を 「後期高齢者」 と呼んだ … 85 歳なら 「末期高齢者」 となる。しかし「老人施設・老人病院」などを ”高齢者” で言い換えるのは不自然だし、反対語を「低齢者」とも言いにくい。

声3: 今は小学生が老人にスマホで物事を伝える時代だ ... つまり老人は「食っちゃ寝」だけの静かな存在ではない(答: 「お年寄り」と「認知症」をごちゃまぜにしてはいけない ... 普通のお年寄りなら負けちゃいないよ、スマホを駆使している ! でも認知症のお年寄りも案外に多いし よく観察すること。

声4: 小泉・元総理の言葉: 「老いに学べば 死しても朽ちず」 と若者を励ました … 若者は老人から学ぶことが沢山あるハズ ! (答: もちろんの事だ … しかし、人間 85 歳レベルなら その半数近くが認知症である現実を認識するべきだ ... 格言に出てくる老人なら 65 歳近辺であり、頭はまだ狂っていない)。
 


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ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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