(637) ス マ ホ 呆 け と シ ナ プ ス

(637) ス マ ホ 呆 け と シ ナ プ ス 

有る脳は “使え ! ” というのが今日の話題の結論になるだろう。

♣ 近年のデジタル機器というのは “楽(らく)して便利”、すごく有難いもので今や日常的に欠かすことができなくなった。だがその便利さと引き換えに私達は 「考える事や頭を使う事」 が少なくなったように思う。SF小説の元祖である アイザック・アシモフ は 50 年も前に、本人は半信半疑ながら予言した:―「将来 100 年も経てば、“子供を持つ親は、子供が何処で何をしているかが見える装置をポケットに入れているだろう” と。

スマホ呆けとシナプス

♣ なんと、100 年どころか、30 年後にその予言は的中し、パソコン・携帯電話・さらにスマートフォン全盛 (図1) のデジタル機器が子供の居場所だけでなく あらゆる社会現象を報告してくれる時代に進んできた。でも、“それで子供のことを心配せず、幸せがやって来たのか?” と尋ねられれば、あなたは何と答えよう? 幸せの Yes ! ~~困ったなの No ! 、両方あるのが現実であり、それが今日の話題・「スマホ呆け」である。

♣ デジタル情報というのは正確で親切だから、私たちに代わって物事を果てしなく “教えてくれ報告してくれる” 。昔はルート 2 (√2) の値を 「一夜一夜に人見頃」 ( = 1.41421356) などと歌い、苦労して覚えたものだが(図2)、いまは割り算・掛け算・平方根などが安っぽいポケット電卓で瞬時に出てくる。文章・音声・画像記録も自由自在 … つまり人は頭を使わなくても 「指先一本で」 自分の望む正確な情報を手に入れることが楽になったのだ。

スマホ呆けとシナプス

♣ 街を歩いていると、スマホを左手に持ち、右手の指でそれを操作しながら、周囲を気にせず道を歩く人を時々見かける。自動車で走りながらそれをする人もある … 危ない ! スマホに熱中する気持ちは分かるが 交通に気を付けなければね。それほどスマホは人の心を吸い込む力があると言える。

♣ だが、デジタル機器は所詮人が使う道具であって、人がそれに使われるものではない。にも拘わらずゲーム感覚で、日がな一日スマホで時間を過ごす若者も少なくない。便利さを楽しむ限りそれで何も問題はないが、やっぱりやり過ぎは危険をはらんでいる。その結果、人はいったんスマホから離れると不穏な気分に襲われる。

♣ パールのある職員は、”記憶力が弱くなり仕事や生活に支障が来る”、と悩みを打ち明ける。“ぐうたら” 状態が続き、集中力の欠如が起きるけれど「脳トレ」をする気にはなれない、と言う。まさに 「スマホ認知症」 と言うべきだが、その人は老人でなく若者だから「認知症」とは言えまい。認知症は主に脳細胞が脱落する老人に起こる症状であり、しかも “非可逆的” だ … スマホで起こる症状は治すことができるから認知症ではなく、それは 「スマホぼけ」 、またの名を 「ものぐさ呆け」 というのが良い。

♣ そこでナゼこんな「ボケ」が起こるのかを検討してみよう。脳の働きは「神経細胞」(ニューロン)の働きに依存する。図3 で、“ひとで” のように枝を張っている細胞がそれである。左の脳細胞は右方向・時計の 3 時方向に長い枝(軸索)を延ばしていて、その先が四つの枝に別れている。その枝の末端が隣の脳細胞に接している――この末端部位を 「シナプス」 と呼ぶ。神経細胞はこのような構造で一つの細胞が次の細胞に連携して情報を伝え、脳全体としての綜合機能を果たす。

スマホ呆けとシナプス

♣ 人間の大脳にはおよそ 150 億個の脳細胞があり、それらが上記のシナプスで繋がり合って高度な回路を作っている。脳の働きは脳細胞の数で決まるが、同時に情報を伝達するシナプスの数によっても決まる。脳細胞の数はその人では一定で変わらないが、シナップスの数は脳を使えば使うほど増えて行き、脳全体の活性を増大させている。

♣ シナップスは、赤ちゃんで生まれた時には少なく、前向きの経験と教育によって日々増え、人はだんだん賢くなっていく。「受け身でものぐさな生活」をするとき、シナプスは増えず、むしろ減っていく。そのとき脳全体の活性は低下し記憶力も判断力も弱まり、症状は年寄りの 「認知症」 に似てくる … 「スマホ呆け」 はこのような機序で起こるのだ。

♣ これを「スマホ認知症」と呼ぶ人もあるが、もし本当の認知症なら、図3 で見られる「ひとで形」の神経細胞そのものが脱落するので回復することはない。しかし「スマホ呆け」なら、問題はシナプス数増減の “可逆性” にあるのだから、必ず治る ... つまり 「ものぐさ」 なスマホ熱中を改めれば良いのである。

♣ まあ、月並みの助言ではあるが「有る頭は使え ! 」を実行すれば、スマホ呆けは必ず回復してくる。1852字  

要約:  デジタル全盛の時代になって、人は楽になった反面、脳をあまり使わなくなった。 情報に受け身で接すると、脳の情報伝達を司る 「シナップス」 の数が減ってしまい、記憶力・集中力の低下、脳全体の活性も低下、「スマホ呆け」 の症状に至る。 情報を前向きで取り込めば、シナプスの数は回復する … 「有る頭は使うべき」 である !

職員の声

声1: 本日 「シナプス」 なる言葉を始めて学び、脳に関する積年の疑問が解かれた思いである(答: “単に頭を使え ! ” と言われるよりも説得力があるよね)。

声2: 4 ・ 5年前、自転車の前後に子供を乗せて走りながら 「携帯」 をいじっていた主婦に 「危ないですよ ! 」 と声を掛けたら 「うるさい、ジジイ ! 」 とにらまれた(答: その状況、目に見えるようだ ! )。

声3: 私はもう 「スマホ呆け」 だ … 困った時、ヒマな時も完全な依存症で あせっている(答: 理事長のお奨め通りに、ちょっとは頭を使いましょう)。

声4: 電卓が世に出た時「暗算ができなくなった」; ワープロの時は「漢字が書けなくなった」; 今度はスマホですか?「記憶・判断力の低下」か?… 先行きどうなるだろう?(答: 人間は「籠(かご) 」→ 汽車 → 飛行機 と旅道具を変えて器用に便利さを享受してきたけど、今度は厳しいね)。

声5: 今でさえ便利過ぎるのに、これから育つ子供たちがスマホの便利に包まれると、若年性認知症 が増えるのではないか?(答: スマホは脳細胞を減らさず、シナプスを減らすだけ だから、この事を意識して我々は脳を使って行こうよ ! )。
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Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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