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(659) ま だ ら 呆 け

(659) ま だ ら 呆 け
  
デイサービス・クラスのI様(アルツハイマー認知症 要介護 2 )は、きちんと歩ける方だが、 トイレで「パンツを脱ぎましょう」と言っても全く聞き入れて下さらない。

♣ しかし、同じクラス・同程度の J 様(脳梗塞後の認知症 要介護 2 )は「家の財産が盗まれたので、困っている」と深刻に解決法を考えておられる。認知症の方々は職員の言葉に反応できる方、できない方、いろいろだ。ここで 二大認知症 と言われる ① 「アルツハイマー 認知症」と ②「脳血管性 認知症」とを対比してみよう。

① アルツハイマー認知症 は脳血管に原因があるのではなく、脳細胞そのものが “まばらに消えて行く病気” だから、全般的な脳の機能が徐々に低下し、初期には気付かれることもなく、滑らかな認知機能異常をもたらす(なだらかな丘の裾型低下)

② 脳血管性認知症は これに反して 「脳梗塞・脳出血」などの脳血管の故障後に発生する認知症である。つまり脳細胞は時間で言えば 「4 分間」 以上 血流が滞ると死滅する。したがって、脳梗塞などで血流が途絶えれば、その血管の支配流域の脳細胞は壊れてしまう。木の枝を連想すれば分かるように、太い場所で梗塞が起これば起こるほど、被害は大きい。脳底動脈などの太い場所での梗塞では命そのものが危ない()。

まだら呆け

♣ 一般に病変が末梢であればあるほど、臨床的には被害が少ないと言える。しかし、末梢型の脳梗塞の場合、多くは間欠的に あの枝・ この枝 というように、何年かおきかに梗塞が続発する。そのたびごとに症状が積み重なり 「まだら呆け」 というような状態になる。つまり、全体的にボケるのではなく、ある部分は全く正常、別な部分は信じ難く異常。これを 「まだら呆け」 と呼び、脳梗塞の初回発作のあと 半年 ~ 一年 などの間隔をもって 病状が進行する。最終的には 「“ まだら ”とは言えないほど均一な要介護 5 」に発展する。

♣ ある人のボケが「まだらボケ」かどうかは、一回の診察では十分に明らかにならない; むしろご家族や介護者のほうが気付くことが多い。元来 脳梗塞がある方に 突然、また新しい麻痺や意識障害が加わったならば、新しい脳血管性病変が加わわったと考えてよいだろう (多発性脳梗塞) 。他方、3 年~5 年~10 年掛かって症状がなだらかに荒廃して行くようなら アルツハイマーとみられる。

♣ 両者は対応法が違う: 脳血管性なら動脈硬化と年齢に対応するし(生活習慣病の治療)、アルツハイマー性なら さしずめ 「有効な薬物」とケア が求められる。しかし、念のため申し添えることは:―― いったん消失した脳細胞が再生することはない。よって、お年寄りが介護者の指示によく従うようになることを期待すると、疲れてしまう。介護者は 何度も同じ指示をする・ 話を聞く・ などを続け、我慢強く対応するほかいい方法なない。

♣ なお、以上の二種類 以外の認知症の分類は「パーキンソン、レビー、ピック、. . . 」などの認知症があるが、これらは病理診断であって、生存中に確定できるものではない … 介護者は あまり迷わないほうがよい。「まだらボケ」は差別用語に聞こえるけれど、まだ「まだら認知症」という言葉は定着していない。要するにアルツハイマー認知症なら “まだらでなく”、脳梗塞性なら “まだら” となる? 1338字

参考:  新谷:「無謀な介護」; 福祉における安全管理、 # 214 : 2011.

職員の声

声1: 私は言葉としての「まだらボケ」を知っていたが、改めて 脳梗塞の進行程度との関連で理解できることを知った。

声2: 大脳に穴が空くように、少しずつ脳機能が脱落すること、その有様が「階段状に見える」訳か?(: Yes, yes ! )。

声3: 抜け落ちた機能の回復は期待薄とのこと、これを知っていれば、取り組みの展望が見えてくる(答: もちろん、リハビリの努力は大事である。例えば、あなたが鉄棒にぶら下がるとき、ふつう 10 本の指を使うだろう? でもリハビリによって、9 本でもキチンとぶら下がることができる;その違いがリハビリの力なのだ)。

声4: 「階段状の低下」と「なだらかな丘の低下」 … なるほど、いい事を聞いた(答: ボンヤリと対応していれば、“まだら呆け” に気付かないこともあるよ)。
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ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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