FC2ブログ

(673) 見えてる?見えてない?

  (673) 見えてる?見えてない? 
  
皆さん方は目がよく見えるか?

3メートル離れた松の葉先が二本に分かれているのが見えるか? 三日月の上下の端が鋭くとがっているのがキチンと見えるか? ―― たいていの場合、ぼやけて見える…なぜなら、その夜は闇夜(やみよ)だから瞳孔は最大級に開いているからである。 北斗七星の端から 2 番目の星が二重星であることが分かるか?(主星のミザールと副星のアルコルが分かれて見えれば 視力は 1.0 )。

♣ 私どもの視力は歳とともに低下するのが常だけれど、視力の一番優れている年齢はいつか知っているか? ―― それは 12 歳だ、(図1・図2)、なぜならその齢で目のレンズが最も澄んで透明だからである。また、あなたは 鏡で自分の瞳(ひとみ)を見て、その直径が何ミリなのかを意識することがあるか?(瞳の直径はたえずゆらゆら動いているが ! )。瞳は 12 歳のとき直径が 7 ミリで、生涯のうちで最大である —— 小学 6 年の子が一番 可愛く見えるのは そのせいだろうか?。でも、瞳の直径は およそ25年ごとに 1 ミリずつ直線的に減ってくる。

見えてる? 見えてない?

♣ 誰でも歳をとってくると、レンズは濁り、瞳の直径は小さくなり、目の条件は悪くなる。高齢者の瞳をみつめて、あなたは気がついているか?――― パールの高齢入所者の瞳の平均直径は 1.5 ミリ程度~~高度に小さい … 主な理由は年齢性の縮瞳(しゅくどう)である(図1・図 2)。瞳孔(どうこう)が小さい、という事は目の中に入る光が当然 少ない … つまり本人は意識していないが、室内の景色が暗くて良く見えていないのだ。これは高齢者に転倒が多い事の一要因でもある。

♣ 老人の眼を “写真機” の光学系で例えれば――「絞り」 は小さく( = 縮瞳)、レンズは汚れており( = 白内障)、フイルムの感度はかなり低下していること( =老人性網膜症)に相当し、視力は若者に比べて著しく低下せざるを得ない。しかし、縮瞳は老人すべてに見られる現象であって病気ではない。

見えてる?見えてない?

♣ さて、物が 「見える」 ということと、「見えたものの 意味が分かる」 ということは 別物である。つまり障害物が見えていても、老人はそれを認識することが苦手だ。たとえばあなたでも、新聞紙を逆さに見せられたら、それは きちんと見えるけれど、何が書いてあるかの意味は分からないだろう。人は 12 歳ころになると、見えたものは それが何かを理解できるようになるものだ。「見える」 のは目の機能、「分かる」 のは脳の機能 であり、老人ではこの両方の機能が低下してしまう。

♣ 目のレンズ細胞には他の組織のような 「再生機能」 がないから、私どもは 12 歳のときのレンズを一生大事にして使わざるを得ない。また目のレンズ細胞には栄養血管がなく、その栄養は周辺からにじんでくる酸素などを受け取るだけの少量であり、仮に障害があって、も回復するのが困難である ―― (関節軟骨と同じ)。

♣ 中年の 40 歳ころになると、さしもの透明だったレンズも、白濁し始める(図3)。老年期の 65 歳を越えると、約半数の方々に白内障の自覚症があるようになる。白内障の特徴は、モノが 「黄色~茶褐色」 に見え、逆光像がボヤけることだ。その発症年齢・進行の早さにはかなりの個人差があり、糖尿病はこれを促進する。
見えてる?見えてない?

♣ 昔は、老眼や白内障をどうすることもできず、老人は半盲となるしかなかった。江戸時代 17 世紀頃から老人用の 凸レンズ 「めがね」 が利用されるようになったが、近頃では高度の技術の発展により 「人工レンズの埋め換え」 も利用できるようになり、良い効果が期待できるが、アフターケアをキチンとする必要もある。

♣ だから、図2で判定できるように、歳を取ることは “視力が低下する” と同義語なのである。実のところ、あなたが見えるほど、お年よりは周りの景色が見えていないのだ。目だけでなく、認知症によって脳の機能も衰えている。よく、目の網膜は脳神経の出店 (でみせ) である、と言われるが、網膜と脳の機能が低下すれば 最悪のダブル・パンチとなる。

♣ 人の遺伝子は 更年期 50 歳程度まで体のいろんな機能を守る機能を持っているけれど、更年期を過ぎてしまうと、遺伝子はその後の老体をまじめに守ることができなくなる。

♣ そこで 私たち介護者のできる最終的な援助の心得は:― お年よりの日常品、食事の席などは、目で確認しなくてもキチンと分かるように定位置を決めて置きましょう。また、縮瞳 (しゅくどう)によって、あなたが見ているよりも、お年寄りは室内の景色が遥かに暗く見えているので、夜の「廊下灯」などを工夫・理解しておきましょう。 1839字

要約:  視力は 10 歳ころをピークで 40 歳ころになると白内障が始まる。 高齢になり、白内障・縮瞳・網膜症が加わると視力は著しく落ち、介護者には見えるものでも老人には見え辛くなる。 この状況をよく理解し、暗い廊下やトイレなどでの事故を防ぐために 明るい環境を用意しておきたい。

職員の声 

声1: 視力の衰えが 12 歳から始まるという本文の図を見てビックリです(答: 大事な眼 ! それも若くして衰え行くなんて ! )。

声2: 瞳孔の直径が 25 年ごとに 1 ミリずつ縮むって初耳だ、白内障が 80 歳で 100 % なんて知らなかった(答: 眼は大事なものだが、案外に人は眼のことを知らないね)。

声3: 見えるのは 「眼」 の機能、分かるのは 「脳」 の機能(答: 老人の視力障害は白内障など 「眼」 の機能低下に加えて、認知症などの 「脳」 の機能低下へ大いに関与している)。

声4: 最近の福祉用具の 「手すり」 は夜になると光るようになっている(答: どの程度の光りか?どう役立っているのか?このことを知らない人が沢山いるよ)。

プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
安全管理 ふじひろのページ

最新記事
全ての記事一覧
月別アーカイブ
カテゴリ
リンク
QRコード
QR