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(698) ルー (Roux) の 三 法 則

(698) ルー (Roux) の 三 法 則
  
カレー料理に使う 「ルー」、あれと同じ発音の 「ルー」 (Roux) は、筋トレの世界ではドイツの生理学者の名前である(図1)。

♣ 運動や人生全般にとって、教訓的な原理を教えてくれる 「ルーの法則」 は、言葉として 皆さん方はご存知かも知れない。今日の安全管理は 「ルー」 の復習、ならびに その応用の智恵を語ってみたい。

♣ がんらい筋肉生理学の知識であった 「ルーの法則」 がパールで役立つようになったのは、介護保険が始まった 2000 年のことであり、もう 19 年も昔になった。

ルー(Roux)の三法則

♣ それを復習すると、 こうだ:―― 身体 (筋肉) の機能は、 過度に使った時には障害を起こし、 使わなければ萎縮 (退化) し、 適度に使った時のみ 発達 する。このれが「ルーの法則」であり、筋肉生理学の教えるところであるが、実際にこの法則は私たちの生活のあらゆることに応用のきく法則である。

♣ 私たちは 「体を鍛える」 と聞けば すぐに 「根性で筋肉隆々」 を期待する。思春期で体が発達中の若い時にはそれが成り立つが、大人になってしまえば あまりその事にこだわるのは賢明でない。特に 成人・老人 の運動についてはなおさらのことである。

ル ー の ① : 障害 では まず初めに、人の解剖学的な性質として重要なプロの知識を持とう。人の体重は生後 3 kg 程度であり、大人になれば 20 倍も増えて 50 ~ 70 kgに育つ。それにつれ、脳も筋も大きくなって行くが、脳細胞と筋細胞の数は増えない――育つだけである。

図2 でお判りのように、脳細胞~~そこから出る神経~~目的地の筋細胞は ワンセット として存在するのであって、運動によって大きくなるのは筋細胞の 「肥大」 であり 筋細胞の 「数」 ではない。また脳細胞も筋細胞も、成人になった後、誰しも 「年齢とともに徐々に減っていく」 。筋肉の重さで言えば、70 歳で 1/2 に、100 歳で 1/4 に減る。このことに逆らって無理に筋肉を酷使するといろんな障害が起こる ―― 相撲やスポーツ界のニュースでよくご存知の事だろう。筋肉も正しい 「鍛錬」 を越えれば {ルーの ①} に陥るのである。
ルー(Roux)の三法則

ル ー の ② : 萎縮 もし、高齢になって脳神経に故障 (脳卒中・認知症など) が発生すると、脳神経は筋肉に向かって正しい命令を発することができず、その脳神経が支配する運動筋は正しく動かなくなる。それどころか、もし脳からの命令がずっと続けて来なければ、{ルー ②} が適用されて、筋肉は萎縮する ――つまり、その筋肉は退化して小さくなる。また、筋肉が使用されない場合 (ケガをしてシーネに固定されている;宇宙旅行に行って 抗重力筋を使わない、など)、筋肉が委縮するのみならず、その筋に対応する脳神経まで萎縮して、役立たずになってしまう (虎斑融解とよばれる脳神経萎縮)。これが {ルーの ②} に対応する。

ル ー の ③ : 発達 健全な脳が健全な神経刺激を筋肉に伝えれば、当然のこと、筋肉は健全な発達を維持する――理屈の通りである。だが、問題は 「何が健全」 なのかを知ることであろう。それは 「やり過ぎず、またやり足りない」 ことを賢く認識する事であって、「知恵と経験」 に基づく {ルーの ③} に他ならない。

♣ ものごとは 「やり過ぎてはいけない」 という経験上の智恵があるが、これはルーの法則で納得できる。スポーツについては 「楽しいからやるのが一番よい」 のだ。もしスポーツが職業なのなら、ムリ してでも勝つことに専念するだろうが、いずれも 「蛸が自分の足を食べる」 行為にならない範囲で智恵を働かせたい。

♣ これと逆に、「廃用症候群」 と呼ばれる一連の無活動は 介護者の智恵を働かす対象となる。とくに、肥満者や老人の活動低下は、脳と筋肉活動の悪循環となって生命活性を落として行く。「老人に体操を勧める」 のは、筋肉の成長を促すためではなく、「廃用を防ぐため」である。やれば やるほど筋肉が付くと思ったら、{ルー ①} に陥る。

♣ 老人福祉の基礎は、日々減って行く 「脳と筋肉」 の生理学を念頭に置きながら、いかにして 「ルーの法則」 をうまく活用するか、にかかっている。

筋 肉 の 収 縮 形 式 は 三 通 り 
. . (A) : 等張 (とうちょう)収縮 ….. 収縮する筋肉が自由に延び縮みする状態。()歩く、走る、体操など。=> 筋肉と共に心臓が強く働く。
  (B) : > 等尺 (とうしゃく) 収縮 ….. 収縮する筋肉の長さ(尺度)が不変の状態。()壁や柱を押す。物を抱えて立つ。(腕)相撲など。=> 血圧が強く上がる。
 (C) : 等張 かつ 等尺 ….. () 物を抱えて歩く、柔道など。

♣ 多くの運動は 「等張収縮」 で行われ、筋肉と心臓がバランスよく働き、血圧はあまり上がらない。しかし、重量挙げ・柔道・相撲などは 「等尺収縮」 の要素が強く、血圧上昇も激しい。したがって高齢者の運動は 「等張運動」 を主体とするのが望ましい。

♣ ルーの法則 ① ② ③ と等張収縮の智恵を働かせて、老人の運動方針に活かすのが良い。2050字

要約:  適正な筋肉発達を促す 「ルーの3法則」 を述べた。 体操や運動を奨励するのは 脳~神経~筋肉の3要素が、年齢相当の機能をするためであり、筋肉だけを肥大させるためではない。 がむしゃらな 「筋トレ」 はルーの ① に陥る;過剰な安静はルーの ② となる。脳~心~筋肉の3者のバランスが「やり過ぎず、やり足らず、ちょうど良い」とき、健全かつ最適な結果 ルー ③ が得られる。

プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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