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(699) O 脚 の 悩 み

(699)  O (オ-) (きゃく) の 悩 み 

  デイ・サービスをご利用の M様 ( 86 歳女性 要介護 1 )は 「変形性膝関節症+病的肥満」 と言われている(身長 140 cm、体重 63 kg、体格指数――B.M.I. 32 )*

♣ ただ今は、歩行時に肩がゆれる程度の訴えだが、ご家庭では畳の上に座ってテレビを観賞、チョコレートが大好きという。先行き、膝の痛みが出てくると、どうすれば良いのだろうか? パールの嘱託医、整形外科の Y 先生 にお尋ねした」。

♣ <Y 先生 > 飽食の時代、こういう方は珍しくない。そもそも、足は重力の影響を受け止める働きをする。つまり体重の影響をモロにうける。この方は、なぜかあまり歩こうとしない。周りの方々が 「過保護」 されているのだろうか? 欧米の人は 「関節」 の障害が多いが、日本人は 「関節」 の変形が多く、しかも 「O -脚」 (オーきゃく) である(図1)。

O脚の悩み

♣ 正常な場合は、立った姿勢で 腿・膝・足首 の三点がくっ付く。 O 脚 では左右の 腿・膝 が離れ、程度にもよるが、両足が英語の 「O」 のように離れる。それにはキチンとした理由がある。

♣ 膝の解剖学を見てみよう:- 膝は 上下腿の間にある 握りこぶし大の関節であって、安静時・運動時 ともに大きな力を受ける。歩く時には 片足に全体重が乗っかる; 走る時の着地では全体重 の 5 ~ 6 倍の体重がかかる—— あなたが 60 kg であったら、300 kg 以上の力が乗っかる訳で、かなりの負荷となる。

♣ その膝関節は 「関節嚢」 (かんせつのう) という靭帯 (じんたい) の袋で覆われている。靭帯とは、強靭 (きょうじん) な 結合組織で、言ってみればテントの布地のようなものだ。

♣ その関節嚢内で上下腿の骨が接触する。骨同士が接触すると、接触部が損耗するので、骨末端の 「軟骨」 によってクッションされる —— 自動車のタイヤの役目みたいなもの。

♣ 問題はここからだ。人生 50 年の頃には問題にならなかったけれど、人の寿命が 2 倍に延びて 100 歳に近づいてくると、軟骨・靭帯は 天然の遺伝子寿命を越え、ともに著しく損耗してくる。

♣ 普通の人体組織は 「毛細血管」 によって 栄養・補強 されるが、軟骨・靭帯には毛細血管がなく、関節の中の液でゆっくり潤されて 間接栄養のみである。つまり、軟骨が擦り減るのを自動的に補充する機能は存在しない。

♣ 軟骨が摩擦によって消失すると、上下の骨同士が直接ゴリゴリ接触するようになり、骨の内側が破壊されてくる。すると、痛みとともに、O (オー) -脚 (きゃく) となる。O - 脚 という言葉は、骨の湾曲のように聞こえるが、実は 骨は湾曲せず、関節部で部分破壊されて、内側に折れているのだ。

♣ その原因は第一に 「過負荷 = 肥満」+ 高齢 による 「骨そしょう症」 であり、閉経後の女性に多く見られる。第二に日本独特の 「正座の習慣」 が原因とされたこともあるが、椅子の生活の現代でも同じ問題が残っている。

♣ これに対して紛らわしいものに 「がに股」 があり、足先・膝がしらが外に向き、柔道家歩き とも言われ、O - 脚 とは原因が違い、男に多い。

♣ 最期に、対策法 を考える:- 減量することが道理に叶うけれど、 「食い意地との闘い」 となるので、老い先の QOL維持 と考え合わせると難しいところだ。パールではせっかく体重を測定する習慣があるので、体格指数 (B.M.I.) の経過表を活用したらどうか?

この方はまだ歩けるはずだから、ご家族の協力を求めるのが良い。 ご本人が膝の痛みを訴えない限り放置することも多いが、整形外科、または整体院で相談するのも良い(図2)。姿が美しくなり、背丈も 2 ~ 3 cm伸びる。

O脚の悩み

♣ ただし、高齢女性で行なう順番は、第一に本人の希望、第二にご家族の希望;職員がヤキモキするのは 順番で言うと三番目となる。

♣ 太っている人の体脂肪は 「降ろすことのできない定期預金」 とも呼ばれる。脂肪はアブラ ….. カロリーの高い 「貯蔵用の組織」 であり、飢餓に備えるための組織であるが、平時にくっ付くアブラは降ろせない。なお脂肪のことを 「肉」 と呼ぶ女性もあるが、肉は運動に役立ち、アブラは単なるお荷物に過ぎない。

♣ 痩せた人は膝のトラブルはないのか? 介護施設で 体格指数 (B.M.I.) が 15 ~ 20 のお年寄りの場合、大抵の膝は健全である。ただし超高齢では、筋肉の痩せの問題が加わってくるので、歩行の不安定さには気を付けよう。1784字  

要約:  女性の膝には案外にO脚の問題がある。 若い人の場合は「痛み」程度の自覚ですむが、高齢者の場合は 「歩行の 不安定・転倒 」 に繋がる。 対応はまず運動、ついで肥満の解決 (B.M.I. 25以下) を目標、膝関節を内旋させる心掛けで(図2)相当な改善と背丈の増加を見る。

参考: * 新谷:「天寿の終点はB.M.I.(体格指数)≒ 12」;福祉における安全管理 # 33、1210.

職員の声

声1 : 膝への負担は重さ (重力) に比例するので高齢者の体重管理は大事である(答: パールでは 100 歳で BMI (体格指数) が 25 ~ 30 の方があるが (肥満領域)、当然のように 10 年このかた歩けない ~ 車椅子生活だ)。

声2: 走る時の着地で膝に掛かる体重は 5 ~ 6 倍 増えるとのこと、相撲取りが膝のトラブルが多いのは当たり前なのだ(答: そのことを知っていても、人間は無理をする動物だ)。

声3: 痛いから動かない 関節の可動域が制限される 関節が硬くなる、の悪循環を繰り返すのは明白 ! (答: 人間、痛みよりも食い意地が優先、特に色気が無くなった後には ! )。

O脚の悩み

声4: O 脚は ペッタンコ座り (図2)で本当に治るのか?(答: 一日に 30 秒を 3 回続けると良い、とされる ... 要するに つま先を内側に向ける、または両足を腿からくるぶしまでを帯で縛る(図3)、そんな療法が「整体」で用いられる。 
プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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