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(691) 老 化 と 健 康 維 持

(691) 老 化 と 健 康..維 持

ヒトの 「心と体」 は、不思議なもので、放置しておくと、垂れ下がって行く。「心」 の垂れ下がりとは、ボー としていると眠くなる; 「体」 の垂れ下がりとは、同じく 筋肉が弛緩して無活動に向かってしまう … この傾向のことを言う。

♣ このことは音楽のメロディーでも観察されると言われる (音楽家: 池辺晋一郎 さんの説) 。つまり、歌のメロディーは 楽譜で見られるように オタマジャクシ が下の方へ流れていくと、安心・倦怠・平穏 に至る。でも、これだけでは魅力ある歌にならない … 人気のある歌は、ここで ヤッと 音のレベルを上へ押し上げ、ふたたび歌を元の元気な勢いに戻す。

♣ 物事には 「波」 のあることが大事である。認知症老人の 「安静生活」 には 「波」 が不足だ。ではどんな波なら良いのか?

♣ そこで皆さん方は 「健康増進」 という言葉に気持ちが惹かれる。ところが、青少年なら いざ知らず、人間の身体が固定するのは 20 歳前後、以後に増加するのは 「脂肪組織」 だけである。

老化と健康維持

♣ でも人々は 「健康増進現象」 が存在するように想像する。このことは 「ルーの三法則」 (Roux) がうまく説明する。つまり、筋肉は使い過ぎると破壊される=(ルーの ① ):筋肉は使わないでいると 萎縮 する=(ルーの ② ):筋肉は丁度良く使うと健全になる=(ルーの ③ )。

♣ つまり認知症老人は一般に安静過剰な生活を送る(ルーの ③ 状態)。そこに 「波」 を入れるためは「体力増進」というキャッチフレーズ(ルーの ① 状態)に惹かれ、あたかも増進するように 「錯覚」 される。ところが老人に一番求められるものは ルーの ① ではなく ルーの ③ なのである。

♣ テレビ・雑誌などで 「健康増進」 と聞けば、それが示すイメージ は 「筋力のアップ」 だろう。でもなぜか 「腎臓や膵臓・脾臓、リンパ節」 などを鍛える、という意識はない。いずれの機能も広く増進すべきではなかろうか? なぜそう言わないか?それは、そんな事に老人は関心を持たないからだろう。

♣ 神経や筋力と言えば、いかにも健康増進のイメージに合致する。だが現実に我々が求めるものは 「ルーの ③ 状態」、つまり自分の体にピッタリの健康状態なのだ。 「やり過ぎ= ルーの ① 」 も、「やらな過ぎ= ルーの ② 」 もお呼びではない。

♣ 我々は、好むと好まざるに拘わらず日々老化して行く。この 「老化に反発する気持ち」 は老人に殊の外強い。そこで 150 年も前に、この 「老化」 を塾考して普遍的な 四つの結論 を出した 「老科学者」 ・ ストレーラー の 「老いの四原則」 を思い出そう。それは 「普遍・内在・進行・悪化」 の四文字で表された。この四文字に反発したい気持ちも理解できるが、なるほど残念ながら 「もっとも」 なのである。

(1) 普遍 とは誰にも起こるという意味で、ソクラテスにもナポレオンにも、そしてあなたにも起こる。 (2) 「内在」 とは老化の原因はあなたの体の中にあり、他人から持ち込まれたものではない、ということ。 (3) 「進行」 とは言葉通り老化は日々進むという意味であって、若返ることは決してない。 (4) 「悪化」 とは健康の真反対の意味であり、我々の体は 更年期以後、日々健康から遠ざかっているのである。この四つ、どんな人でも避けられない !
老化と健康維持
♣ 考えてみれば、スポーツ選手が現役から隠退する時は案外に若い年齢だ ―― たとえば、体操やスケートは 20 歳過ぎ、相撲や野球は 30 歳過ぎ、自転車や競艇は 40 歳過ぎなど …。自分の生活が掛かっているだろうに その年代でナゼ 更なる健康増進を試みて本分のスポーツを続行しないのか?

♣ それは 経験的にムリだと本人が知っているからであり、また、実際 解剖学的にもムリがあるのだ。前記のように、我々の体格が固まるのは 20 歳前後、それ以後に増えるものは 「脂肪組織」 だけなのである。しかし 「知力」 はまだ成長して行くので、30 歳・ 40 歳代まで総合体力は延びる余地がある――でもその辺が限界だろう。

♣ 福祉で健康増進を考えるのは その 2 倍もの高齢領域での話である。とんでもないことだ ! 本当は、ルーの法則で言うと ルーの ③、つまり「過ぎず不足もない丁度よいところ」 が求められるのである。だから、ご高齢の方に 「体力増進 = ルーの ①」 を奨めたら、所定の結果が得られないのは当たり前だろう 。

♣ そこで 「健康増進」 という勇ましい言葉よりも、理にかなった 「健康維持」 のほうが 心(こころ)にムリが掛からず、この目標こそが 認知症ケアに よく当てはまる言葉と言える。あなたの頭の中で、「増進」 と 「維持」 が混同していると、とんだケガの元となるかも知れない。

♣ もし 「心と体」 の垂れ下がりがあるのなら、元気な歌を歌うように、流れをヤッと上の方に押し上げよう。波のある生活を、そしてまた廃用萎縮にも陥らないように意識をとり直し、考えを改めてはどうか。1963字

要約: 世の中には 「健康増進」 という言葉があふれている。 「増進」 という言葉に踊らされて 「過剰な」 方法に身を置くと、ルーの ① に陥り、期待外れとなる。 「増進」 ではなく、「維持」 という言葉で置き換えればルーの ③、つまり本人の健康に一番良い結果が得られる。

職員の声

声 1: 栄養士の私でも よく 「増進」 と聞くが、老人の場合 確かに 「維持」 のほうが無理のない言葉だと思う (:テレビや雑誌で 「維持」 と言わず 「増進」 と言うのは 「料金が絡む」 からなのかな?)。

声2: 本文にあるように、老化とは 「普遍・内在・進行・悪化」 のことだと言うが、「それを心に受け止める事」 が一番幸福に繋がるでしょう (答: 自分の老化に反発していると、幸せがなかなかやって来ない)。

声 3: ナースの教育では 「○○の向上、××の増進」 などの計画書が多い。マスコや放送などなら 「維持」 でなく 「増進」 のほうが格好良いが、やはり年齢相応の方針が本来の姿ではないか (答: 「増進」 と聞けば、老いの耳であっても 心は つい ルーの ① (=やり過ぎ) に向ってしまう)。

声 4 : 人はいつまでも若くはないのだから、 「幸せな老化とは 老いに適応すること」、私はこの一言に共鳴する (答: 夏目漱石 ではないが、肘や肩をつっぱると、ほとほと疲れちゃうよ)。
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ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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