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(713) ゾ ロ を 理 解 す る

(713) ゾ ロ を 理 解 する

テレビでは相変わらず有名 女優・男優 を起用した 「ゾロ薬品」 の宣伝 が盛んだ。

♣ 「ゾロ」 とは 「後発薬品」 のことで、正式名称は 「ジェネリック」 (特許登録されていない)である。近年の薬物は、製薬会社が治療に必要な化学物質を開発し、国によって正式に認定されるものである。新薬の開発にはふつう 10 年から 20 年を必要とし、開発経費は 何百~何千億円 もかかると言われる。従って得られた新薬には 10 年間の 特許期間 が設定さ れ、その間に他の会社は同じ薬を作ることが出来ない(図1)。

♣ 特許期間が過ぎれば他の会社も売れ行きの見通し次第で製造販売が出来る。このため最初に開発された薬のことを 「先発薬品」 と、後を追って作られる薬を 「後発薬品」 と呼ぶ。後者はふつう 二種類~五種類~十種類 と多く、ゾロゾロ出て来るので、「ゾロ薬品」 というニックネームが付いている。
ゾロの長所を知る

♣ なぜゾロが多種類なのかといえば、売れて儲かるからだ。では 「後発薬品」 は 「先発」 とどこが違うか? 研究開発費の何百億が節約できる、 その分 3 ~ 7 割安く売ることができ、売れ行き次第で儲かる、欠点は、薬の名前が多種類すぎて覚えくい、 副作用についての研究や補償が不安定。

♣ 利用者にとってみれば、薬は安い方が有難い。そこで薬を 「饅頭」 (まんじゅう) の 「アンコ と 皮」 になぞらえて説明しよう。

♣ 先発薬品は基礎研究のあと、二重盲検 などの厳しい国家検定を受けるが、「後発薬品」 は有効成分 (アンコ) の検定のみで、患者さん参加の 二重盲検 は省略される。アンコさえ合格であれば、皮の色や形に関係なく饅頭も良いハズ、と考える —— これは薬を安く提供するために必須である。

♣ 先発品・後発品 の間では 「値段、有効性への懸念、製品の安定供給、副作用への対応と保証などの点で相違」 が発生する。しかし 「3 ~ 7 割も安い」 ことが魅力的だ。諸外国ではゾロの評判が高いが(図2)、日本では今ひとつだった。最近では健康保険の経費節約のため、国の後押しが強くなり、先行きもっぱらゾロの市場に変わり、8 割もの薬がゾロになると予想されている図3)。

ゾロの長所を知る

♣ ここで 「二重盲検」 (もうけん) に触れておこう。薬が効く、とは誰が決めるのか?戦前は 「偉い教授殿や有名な俳優たちが効く」 と声高く言えばそれで決まっていた。戦前のアメリカでは、薬の有効性を 服役中の囚人で 人体実験 行った時期があった――これに参加すると、囚人の刑期が短縮される恩恵があったと言われる。

♣ 戦後のコンピュータ時代になって、「二重盲検法」 が活用され、科学的・統計的な効果判定 が出来るようになった。たとえば千人以上のボランティを募り、半分の人に実薬を、残る半分の人に偽薬 (プラセボ) を与え、その結果を数学的に分析して薬効を判定する。なぜこんなことをするのか?

ゾロの長所を知る

♣ 人間には 「サンタ」 という心理的な習性がある。それは、薬を私が 「使っ ・良かっ ・効い 」 の「さん 」である。私に効いたものはあなたにも効くハズだ。つまり、声の大きい人が 「効く」 と言えば 「効いた」 のだった。

♣ でも、それでは薬の氾濫する現代を仕切ることができず、責任の所在も曖昧( あいまい) となる。そこで薬効を 他覚的に 納得できるように上記の 「二重盲検法」 が採用されるに至ったのだ。

♣ 新薬の開発というものはこのように大変な手順と経費が掛かる。その点、「ゾロ薬」 は時間も経費は遥かに安上がりになる。製薬会社の儲けが絡んでいるから 「ゾロ」 は大繁盛であり、一つの 「先発薬品」 に対して 10 種類~ 15 種類もの 「後発ゾロ」 が現れる。

♣ それぞれには 薬の名前 がついており、薬の成分は同じなのに、あっちの 10 種類の名前、こっちの 5 種類の名前を覚えるのは混乱するばかりだ。ゾロの交通整理のために、処方箋では 「先発薬品 ― 後発薬品」 の二重書 きが推奨されているのが近年の知恵である。1544字

要約:  ゾロとは、新規開発薬の特許期間が過ぎた後に売り出される後発薬の名称であり、ゾロゾロと 沢山あるので 「ゾロ」 と名付けられた。 ゾロの長所は薬価が 3 ~ 7 割安く、保健行政の助けになるが、「サンタ」 という心理現象のため、有効性に疑義も報告される。 しかし、なにせ 安いというメリット に敵うものはなく、先行き大半の薬は、欧米のように、ゾロ薬で置き換えられるかも知れない。

職員の声

声1: ゾロの利用率が日本と欧米でこんなに差があるのはナゼか?(答: 日本では、不思議なことに、値段が格安であれば高級品を、もし無料であれば最高級品を求める性質がある、その上にブランド志向が重なる)。

声2: 昔 私が病院勤務の頃、患者さん方はゾロを嫌った … 今は時代が変わったようだ(答: 確かに たいした根拠もなく ゾロ = 粗悪品 というイメージが強い時代があった)。

声3: 1 種類の薬ならいざ知らず、 7 種類 ~ 15 種類の薬を処方されれば、7 割も安くなるゾロでなければ薬代が馬鹿にならない(答: お年寄りによっ ては 18 種類の薬を処方されている方もあった … 副作用の点で ちょっと問題だね)。

声4: お饅頭の 「アンコ」 = 実薬の部分と、「皮」 = 目に見える外観の部分 … このような説明が分かりやすかった…ゾロとは単に 「皮」 の作り方が異なるだけなのに、私はつい先発品の 「皮」 に惹かれて気持ちが迷う(答: 値段が 7 割も安い時代になれば、逆らいにくいなー)。
プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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