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(716) 認 知 症 の 因 果 関 係

(716) 認 知 症 の 因 果 関 係

今年は 「人生 100 年時代」 というキャッチ・フレーズが人気を呼び、人間はみな 100 歳程度の寿命があると思われ、お年寄りが社会にいっぱいいても不思議に思うことはない。

♣ ところが、生命一般は 「出生・ 繁殖・ 他界」 … このサイクルを無限に繰り返す。「遺伝子」 というものは遺伝子そのものの存続を目的とするから、これで目的は達成されるのであろう。

♣ しかし人間は例外で、繁殖の後 すぐに他界することなく更年期に移り、子孫への遺伝子伝達を しないで (子を産まないで)老年期 50 年 を過ごす。つまり、神さまは 「どう生きるか」 を遺伝子の中に収めて下さったが、が どう死ぬか を遺伝子の中に指示されていなかった。

♣ だって、更年期以後の長い生命が 今のように誰でも得られるようになったのは たかだか 50 年前からのことだ。神さまが その変更を遺伝子に書き込まれるのは たぶん 100 万年以上 先になるだろう。つまり、更年期以後の人は、遺伝子の働きで生きているのではなく、自分の 「知恵と甲斐性 (かいしょう) 」 で生きざるを得ないのだ。

♣ 歴史的な観察では、人間の本来の寿命は 子孫確保完成 の時点まで、つまり更年期の 50 歳頃だとみられる。何も工夫していなければ、戦後の寿命は 50 年のままだったハズであるが、日本では 「知恵と甲斐性」 (かいしょう) を用いて 「人生 100 年時代」 を豪語( ごうご) する力をもっていた。
認知症の因果関係

♣ その主な社会的 「知恵と甲斐性」 は 「衣食住」 の確保・ 「水冷」 の普及で示される … なんだ それは? 考えても見よう (図 1) … もしあなたが無人島に一人で漂着した時、「衣食住」 が確保されなかったら一週間の命が持つだろうか? また、もし 「電水冷」 がなかったら夏と冬を無事に生き抜くことは難しかっただかろう… とくに高齢老人なら。

♣ 老人施設でもし 停電発生 ならアウト ! ! 夜は片手にロウソクのトイレ、水道 が止まれば その水洗トイも使えず、どこに垂れ流すの?今どき、暖冷房の完備がなければ 寒さ・ 暑さ で予想外に多くの老人が間引かれる事件が多数報告されている(図 2)―― 現実は、医療・介護以前に、こんな些細な知恵と甲斐性があったからこそ 老人の寿命が延びていたのだった。まったく人生 100 年時代への到達は 「知恵と甲斐性」 のご褒美によるのである。
認知症の因果関係

♣ さてここで文頭の 「因果関係」 の話に移ろう。因果関係とは 「原因があってこその結果」 という意味であり、同時に 「結果を知れば原因が判る」 こと、つまり全く同じものを2方向から観察したことを言う。たとえば、「水洗トイレは衛生的である」 ;これは逆に言うと 「衛生的なのは水洗トイレだ」 であって両者の因果関係は確かだ。

♣ しかし、これはしばしば 「相関関係」 と間違えられる。相関関係とは「二つの現象が たまたま同じ方向にある」というだけの意味である。例えば 「背丈が高いと学力も高い」 の 図 3 は、因果か相関か?もし因果なら 「学力が高い人は背が高くなければならぬ」 が、そんな事実はない。この場合は、“小学生が高校生に成長すれば 学力も進む” ことを表すだけであり、因果ではなく単なる相関関係にすぎないのだ。

♣ ここでまた文頭の問題に戻ろう ―― 認知症の原因は何か?それは議論の多いところであって、まだ一言では答えられていない。有力な説明は ―― 「ベータ・アミロイドという物質が 20 年かけて大脳に溜まり脳細胞を壊す」 などであった、が、近年 この因果関係は成立しないことが判った。また、認知症には普通 薬物療法が行なわれているが、それも近年、薬物の 99 % は無効であることが判って来た。
認知症の因果関係

♣ 認知症と年令との関係は 若年グループでは言えないが、 「65 歳を越える高齢との因果」 だけは抜群であって、誰もが認める ! 年齢との因果関係が高い現象は、個人差はあるけれど、毛髪・ 視力・ 聴力・ 顔の皺・ 歯の数・ SEX、転倒~骨折の頻度 など枚挙 (まいきょ) にいとまがない。姿を見れば齢が判るし、齢を聞けば姿も見えてくる...双方向性の因果関係だ。

♣ 1962年、老科学者のストレーラーは観察によって 四つの原則 を提出した――老化は 誰にも必ず起こる、 その原因は身体の中に有る、 必ず進行する、 必ず悪化する、と。老化の症状は みな ① ~ ④ に該当するから、認知症はストレーラーの原則通り、つまり老化そのものとも言えるだろう。

♣ 一般の動物でも 「人間に飼育」 されれば 犬・猫、また動物園の獣・鳥も加齢とともに認知症に陥る。これも因果関係である。

♣ 人間でも、血圧コントロールと認知症の関係が報告される:―― つまり、高齢者で (A) :血圧が高いままなら元気が続くが、脳卒中の事故による血管性認知症もありうる。(B) :血圧を薬によって下げ過ぎると、生活活性の低下 (寝たきりなど) に注意すべきであり、実際、認知症のうち 半数近くは降圧薬の影響を受けているとの報告もある。

♣ 認知症の単純な因果関係はまだ確立はされていないが、少なくとも 「 長命の華 」 が 「認知症」 であることだけは間違いない。さらに中年期の疾患である 「糖尿病・ 脳卒中・ 癌」 などとも同類の疾患であって、生活習慣病と認知症は同根の関係ではないか、とも示唆される時代になった。1910字

要約: 以上の観察を通しておぼろげに判ることは、 人間が子を産み育て終わるまでの期間は生命の健全な期間であり、遺伝子がその人の健康を守っている。 それ以降の長命は遺伝子の役目ではなくなり、人間は、遺伝子に代わって自己の努力により老後の健康を維持せざるを得ない。 ストレーラー の原理により、過度の長命は その因果関係によって健康の 悪化・ 進行 をもたらし認知症に至る…すなわち 「老化長命」 と 「認知症」 は一つのものの別な表現、つまり 双方向性の 「因果関係」 と言えるのではないか。

職員の声

声1: 降圧剤が認知症発生に関係するとは知らなかった(答: 日本では 「血圧は低い方が有難い」 という間違った認識が頭に刷り込まれている… 低すぎる血圧は脳循環の低下を通じて 認知症の誘因 となることを認識しよう)。

声 2 : 認知症の予防が実現すれば ノーベル賞 ものか?(答: 認知症を 「過剰老化」 という言葉で置き換えよう … もし 「老化」 を予防する方法があるとすれば、ストレーラー原理のほうが ウソ となる。

声 3 : 100 歳の人には 「身体・ 精神・ 社会関係」 の 三つの健康面 で障害があると聞くが、将来、認知症の因果関係が解明されれば根治できるか?(答: 因果関係の 大部分は 「高齢」 であり、人が生きて 齢を重ねることは 避けて通れれない... 念のために申し添えよう ーー 認知症は 14 年前まで 「老人性痴呆」 と呼ばれていて、「老人が若者に変わる」 なんて誰も考えたことはなかった)。

声4: 人生の目的は 「生きる・ 増える」 ことでしょうが、高齢の時代の目的は 介護保険で 「ひたすら生き残る」 ことでしょうか?(答: 神さまは目標の寿命を 更年期 50 歳ころに設定されたのでしょうが、それを 「人生 100 年時代 」 に変更したのは 「人であって神さま」 ではありません ... 人生の年限目標を論ずるよりも先に 本人 希望の 「正当性」 を問題にしましょう)。
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ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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