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(719) 正しい横着をお奨め

  (719) 正 し い 横 着 (おうちゃく) を お 奨 め  

  横着とは 「すべきことを故意に怠ける、できるだけ楽をしてすまそうとする . . . 」 などで、「正しい横着」 なんて 聞くことはない。

♣ しかし、あなたは こんな話を知っているね ―― 「狐はずるい」 (Cunning like a fox. )、と。でも、狐は本当にずるいのだろうか? 間違いではないか? 「狐はずるいのではなく、賢い」 と言うべきだろう。人間が 自分の浅知恵を基にして狐をバカ扱いしただけの話ではないか?

♣ あなたは毎朝、自分で起きずに目覚まし時計に起こして貰い、歩けばよいのに車を使い、直接 人に会って言えばよいのに 携帯電話で用をすませてしまう。狐の目からみれば 「人間て、なんと横着なんだろう ! 」 となるような行いだ。

♣ もっと広げて言えば ―― あなたは 年をとって ヨボヨボ 歩くようになったら 「要支援 1」 などを認定されるだろうが、狐の目から言えば 「何と横着 ! 」 となる。自分でトイレに行けばいいのに 「オムツを当てて貰う」、なんて 狐には了解不能の 「横着」 である。狐は、自分のことは自分でする ―― 他人にして貰って当たり前、なんてそんなズルはしない。

正しい横着をお奨め

♣ そうなんだ、つまり 「横着」 を 「怠け」 と区別し、できるだけ 「楽」 (らく) を発明すれば 人間の文化は発展するが、「横着」 はいけないことだろうか? とんでもない ! 歩くことを省いて使う馬や駕籠 (かご) に代わって (図 1)、今は贅沢な 「新幹線やジェット機」 に乗る(図 2)... これぞ「正しい横着?」。

♣ 介護の領域では、昔 車椅子やエレベーターは無かったが、「楽」 したいと思う動機 (= 横着) が文明に繋がっている。少し以前、私たちは歩けない親をオンブして階段を登る 「苦労」 を 「親孝行」 と呼んでいた。が、 今 横着のおかげで 「苦労」 が 「楽」 に入れ替わったけれど、「親孝行」 も消えかけている。「横着」 によって文明は進むのだろうか? ならば、「横着の正しい開発法」 を勉強したら良いだろう。

正しい横着をお奨め

♣ 「横着」 と 「賢明」 は 紙一重の相違とも思える ―― 「賢明」 は 考える時間と教養が必要、「横着」 は “手抜きして楽を得る” わけで、手抜きの心は誰にでも自然に備わっている。

♣ 皆さん、福祉における「 横着」 を言い並べてみよう。なに何? ナースコールが有る?おしものお世話?食事介助?機械浴?暖冷房?それだけかな?私が若いころには これらは皆 無かったけどな !

♣ 今は違う ! 区役所では介護度の 認定会議 が開かれており、毎日多数の方々の生活事情が検討されている。中 には 「非該当」 があるが、大抵は 「要支援 1」 から 「要介護 5」 に分類されて行く ―― つまりこの人数だけ 「要介護」 の人々がこの世で援助を受けて暮らして行けるのだ。

♣ 個人的な意見だが、私はこれらの人たちが もし日本国を離れたら その 半分程度 の人々は 寿命が減るのではないかと心配する。つまり、ここが日本だからこそ彼らが訴える 「横着」 が 認定会議で採用されるのだ。自分のことは自分でする狐には理解できないかも知れないが、他者依存によって日本の平均寿命の 「世界一」 になっている要素でもある。

♣ で、その延長された期間は幸せな期間となっているのか?それとも 不幸・不満 な日々が延びただけか? ―― もし諸外国であればこれら介護度の重い短命な人々は助けて貰えないだろう。「助け合う」 ということは美しいこととされるが、猫も杓子も重介護で延命することが美しい事だろうか?

♣ また 重介護に重予算 を付けることは、姿は美しいが、それだけに日本の介護保険の予算は莫大になる 。「愛と尊厳」 のために高齢者予算は社会保障給付費の 70 % を占め、それに押されたように子供予算は僅か 4 % に圧縮だ(図 3)。カナダではこの比率が 50 % 対 50 % なのである。親も子も、バランスのとれた “費用 対 効果” を実行できるようにする必要はないだろうか?

正しい横着をお奨め

♣ 前回私たちは、死ぬのに何年もかけて “ジワリジワリ” 死ぬ 「ジワコロ1) を、常識的に普通の 「並みコロ」 に転換すれば 助けられる人も助ける人も、お互いにずいぶん幸せになれることを検討した。すぐにこれを可能にすることは出来ないが、「負んぶに抱っこ」 の日本式介護を、スエーデン式のように 分かりやすくしたらどうだろうか。

♣ 今回、私は 「ロボット」 の活用 2) を提案したい。え? 何? ロボットの採用で 私らの雇用が減るのではないか、と案ずる人がいるって? そうですな、昔を振り返ってみよう。「馬車 が 汽車」 に変わったとき、馬方 (うまかた) は仕事が無くなると、大きなストライキを打って出た。でも、視野を広げて観察しよう … 現実には 交通業の発展により、雇用はウナギ登りになったではないか。

♣ ここでは宿題を出してみよう: 福祉全般で、「介護」 を 「楽」 に変える発想を一つ述べてください。 上記のロボットのうち 1 種類 を新しく開発して あなたの仕事の領域で 「介護」 を素敵な 「楽」 に変えてみて下さい。1984字

要約: お年寄りのお尻にオムツを当てたり、携帯で無駄話をしたり、狐は人間のすることに ビックリ している … 横着って文明なのだろうか?   介護保険で 「楽」 をすることによって老人の寿命は長くなったけれど、その 「横着」 で幸せになったのは誰だろうか? 人間の平均寿命は、不適切な介護を重ねることで、もうすぐ 100 歳 になると言われるが、今よりも 10 年 以上長生きして増えた認知症の人達は幸せになれるのだろうか?

参考:  1) 新谷: ピンコロか? ジワコロか?;福祉における安全管理 # 393, 2012.   2) 新谷 : 介護支援ロボット; ibid # 206, 2011.。

職員の声

声 1: ドローンで家庭への配食ご用をすれば、「横着」 かも知れないが、「楽」 だなー ! (答: そうなるかもよ … お年寄りや子供たちが ドローンの回転プロペラ で怪我をしないような工夫をすれば、まさに 「横着」 = 「賢明」 の成功となる)。

声 2: 「その横着は賢いなー ! 」 と言われるような横着を工夫したい(答: つまり エレベーター や 車椅子 のような 素晴らしい 発見・ 発明 のことだね ! )。

声 3: 湯水のように資金を注ぎ込んでも、実際は介護期間の延長に利用されるのがオチ、本当は認知症が治らなければ 延寿は有効でない(答: 認知症の予防は 声高に叫ばれるが、ちっとも減る気配はなく、介護保険で むしろ増える――なぜなら、認知症は病気ではなく 「老化」 を言い換えただけに過ぎないからだ)。

声 4: 介護によって延びる寿命は有難いが、延寿が 「人々の役に立つ」 ことに繋がれば、介護のモティベーションはずっと上がるだろう(答: して貰う 権利 があれば、してあげる 義務 も果たさねばなるまい … 命は尊いけれど、ボー と生きるだけでも 資源は消費 され続ける しね)。
プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
安全管理 ふじひろのページ

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