(64) 昔と今のお年寄り

  (64) 昔と今のお年寄り 

 お年寄りとは、何歳から?誰も正解を持っていませんが、2,000年まえのローマでは40歳(元老院の資格)、織田信長は49歳(有名な本能寺の事件)、干支(えと)では60歳、介護保険では65歳(一号保険者の資格). . . 。どの年齢も恣意的(しいてき)ですね。

♣ 昔の日本には「家督」(かとく)というのがあって、その家のお父さんが一家の家督を勤め、税金を納めていました。歳をとって来ると「隠居する旨」を役所に届け出ると、家督はふつう長男に移ります。税金などの義務から解放されるので、彼は「横町のご隠居さん」となり、「物識り爺さん」として町内を取り仕切りました。女性も同じくで「お婆さんの知恵袋」をお嫁さんや近所の若い娘たちに分け与えました。

♣ この良き懐かしき隠居や家督は65年前の終戦とともに姿を隠しました。それが本格的に消え去ったのは46年まえの東京オリンピック開催の頃です(1964年)。その頃、カラーテレビが全国に普及し、「ご隠居の仕事」も「お婆さんの智恵袋」も、テレビ番組が全部かっさらって行き、若者たちはTVさえあれば、ほとんど日常生活で困ることはなくなりました。さらに10年まえからのインターネットと携帯電話の普及:これでジジ様・ババ様の社会的価値は完全に撃墜されました。いまさら「お年寄りとは何歳から?」という質問自体が陳腐(ちんぷ)です。

♣ そんな時代でも、親は大事です。昔の親は55歳で定年、恩給をもらってのんびり過ごし、60歳になると「還暦」と称して 赤いチャンチャンコをもらい、一族のお祝いを受けたものです。だって、その頃の平均年齢は50歳に満たなかったから、60歳の還暦は貴重でした。一族の中でも数少ない還暦のお年寄りは「風呂も温泉も」大好き、「畳の生活」も大好きでした。♪♫♬ おーはら庄助さん、何で身上(しんしょう)つーぶした? ♫♪朝寝・朝酒・朝湯が大好きで♪♬ そーれで身上 つーぶした、あどっこいしょ、どっこいしょ ♫♬。

♣ ところで今、お年寄りは「朝寝・朝酒なんてとんでもない、お風呂は面倒で疲れる、温泉は足元が滑るので危ない、畳はいったん座ると一人で立てない . . . 」。いったい、お年寄りはいつから、こんなに柔(やわ)になったのでしょうか?

♣ 考えてみると. . . 昔のお年寄は還暦の60歳、今のお年寄りは米寿の88歳。お年寄りという「同じ言葉」を使っているけれど、「中味は30歳の違い」があります。その昔だって、還暦と米寿を混同することはなかったでしょう。今のお年寄りが、一見、意気地ないように見えるのは、若者がこの年齢の絶対差を勘違いするからです。

♣ でも、お年寄りにも「人間の尊厳」があります。単に若者たちに甘えるのでは、心地よくありません。そこで、私たち自分自身の将来への教訓を読みとることにしましょう:社会の変化に適応する努力を続けること。片意地になってパソコンを拒否するのではなく、また体力を失うこともなく、スマートな仕事人であり続けましょう。

職員の声

声1: テレビやネットから情報は入ってくるけれど、「身近なお年寄り」のお話は貴重だと思います。

声2:私は「お年寄り」とは60歳ほどのイメージを持っていましたが、福祉の仕事に従事すると それが80歳以上であることを知りました。

声3: 私は仕事を続けていたせいか、お年寄りと聞けば、90歳ほどのイメージを持ちます;80歳では まだ若々しく、行動的な方が多いです。

声4: 私の祖父は80歳を越えてパソコン教室に通い始めました。

声5: 高齢になるほど個人差が多くなりますが、90歳でPCや携帯をこなしている方は少なくありません(係り:一般社会のお年寄りは 元気ですね;しかしパールのお年寄り(平均年齢 90歳)は「お風呂と畳が嫌い」という現実が明瞭です。このあたりに「昔と今のお年寄り」の境目があるのでしょうか?)。
プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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