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(725) 納 得 で き る 順 番

(725) 納 得 で き る 順 番   

今からおよそ百年前 (1012 年)、巨大豪華客船 ‘タイタニック号’ がイギリス → アメリカへの処女航海の途中、大西洋の真ん中で氷山との衝突で沈没した。さすがの 4 万 6 千トン・ 世界一の巨船も わずか 2 時間半で海の藻屑となってしまった。死者が多かったのは救命のあり方に問題があった。

♣ 係り員は 救助を一等船客の 「女と子供」 に絞り、その順番を ピストル で構えて守ったが、ボートの数は足らず、1500 名あまりの客は マイナス 2 ℃ の海水の中に投げ出され水死した(図 1)。

♣ 乗客の救助率は 女 74 %・ 子供 52 %・ 男 20 %と 伝えられる。ピストルでおどして選別しても、女は 100 % 助けられず、男は 20 %ほど紛れて助かった。緊急事態であるから 「女・ 子供 第一」 は徹底しなかったのだろう。また、ボートに乗るこの順番を納得できた人たちは どれほどいただろうか?

納得できる順番

♣ この順番について 20 年後英国首相を務めた ウインストン・チャーチル はこんな逸話を残している ―― 彼は仕事で船旅をするとき、その予約を 七つの海を支配したイギリスの船でなく、イタリアの客船に求めた。

♣ 不思議に思った下士官は当然 ナゼ ?と質問する。その時のチャーチルの答え がふるっていた: 「万一事故に見舞われたとき、「女・ 子供 を優先して避難させる習慣のイギリス船は 僕の趣味に合わないナ」。つまりチャーチルはタイタニック号の避難方法なら、80 % の男子は水藻に消えたことを知っていたのである。彼は 女・ 子供 第一 を批判することなく、自分の場合は 「君子危うきに近寄らず」 を実行したのだった。

♣ 次の例は 客船・ コンコルディア号 がイタリアの海岸近くで沈没した件だ(2 012 年)。乗客 4 千人余の中で死者はわずか 29 人; タイタニック号に比べ 桁違いに少ない被害であったが、あろうことか この船の船長は船を見捨てて、早々と安全な陸地に逃げてしまった。

♣ また 2014 年、韓国の 貨客船 セヲル号 が近海で沈没 したが、またもや船長は、制服を脱ぎ捨て下着姿で早々と救助群に紛れ込んだ。指揮者の船長がいなくなって、300 名を越す高校 2 年生が客室に閉じ込められたまま水死した ―― これがイタリアと韓国の現実だったのだ。

♣ ここで ローマ法王の コメント が発せられた ――“この事件により人々が倫理的に生まれ変わることを望む”と。日本には ‘武士道’ があるが、「女・ 子供 第一」 はあるだろうか?… 君ならどうする?

♣ 緊急救助の順番決めで有名なのが赤十字の 「トリアージュ」 だが (図 2)、これは戦場の傷病者手当の心得を分かりやすくするために 「タッグ」 を付ける。黒色の タッグ は死亡例; 赤色は最優先で治療が必要なもの; 黄色は自分の足で移動して救助されるもの、緑色は対象外。これは健康だった被害者の場合によく適応され、列車事故などにも利用される。

納得できる順番

♣ 意外なのは 「川溺れの親子」 の場合、先に親を助けよ、と言うもの。親を助ければ その後 「親は子助けの戦力になる」、とのこと。洪水の場合の 「ヘリコプター救助」 は パイロットの指示に従えば良い。基本的には全員が助けて貰えるのだから、海難災害と異なり、厳しい順序は必要ない。

♣ 「火事の場合」 もこれに準ずるが 「炎と一酸化炭素中毒」 の危険があるので、助かりそうな者から順に助ける。火の中に飛び込んで助けようとすると、ガス中毒で両者ともに倒れてしまう。また 「寝たきり」 の場合 ―― 少なくとも移動に 4 人の職員が必要だから、援助人員の余裕を見つけることが先決となる。

♣ 緊急救助の場合、「建前」 と 「本音」 の問題も考えておこう。例えば、「建前で病人・老 人を優先」 するのは当たり前だが、「本音」 としては、事件終了後の復旧に必要な社会力をも勘案したい。ある 「本音の案」 では ―― 赤ちゃん・ 子供・ その保護者・ 青年層の男女の順だ――老人よりも次の世代を担う人々を優先する、と発言する。

♣ 緊急救助の事態は、その規模によっても大幅に対応が異なる。事故が 数人・ 数十人・ 数百人などでは、一般的な解答はない …状況によって順番は変わるが、あまり 建前・ 本音 にこだわるのは差し控えたい。ふだんから頭の中で復習しておこう。

♣ 最期に老人ホーム・ パール での心得をお伝えする。消防署の提案は 「まず、やりやすい順に各部屋からお年寄りをベランダへ運んで下さい …. その後は我ら消防隊に任せて欲しい」 とのことである。1810字

要約:   緊急救助の場合、誰をどの順番で助けるかは常に厳しく問われ、タイタニック号 沈没の場合は 「女・ 子供 第一」 であった。 ふだんなら 老人・ 病人・ 子供を先に救助すると答えられるが、救助の規模や 「建前と本音」 によって順番はいろいろ変わり得る。 場合はさまざまであるから、頭の中で訓練をしっかりやっておこう。

職員の声

声 1: 女・子供が助かっても、お父さんがいなかったら、どうして生きればいいの?(答: そもそも 「沈没」 って残酷だよね … 水は零下 2 ℃、浸かったら 10 分で凍死してしまうよ)。

声2: 救助する人材が確保されなければ 救助は実現しない … 救助者は 「自分の身の安全を」 確保せよ ! (答: イタリアと韓国の場合は “船長が身の安全確保” をしたけれど、救助の指揮を行わなかったのが残念だ)。

声3: 「建前」 の行動は美学上の雅 (みやび) さがあるが、 「本音」 の判断は社会貢献の点で重要・必須ではないか?(答: 「行動の美学と社会貢献」 の引っ張り合いを 緊急時 に行う … 誰でも迷っただろう)。

声4: もし日頃から訓練をしていなかったら 「我 先に」 とパニックになったのではないか?タイタニック号の判断は立派だったと思う(答: 8 割の男性は止むを得ず 美学 (水死) に殉じたのだろうか?もしそうなら、タイタニック号の沈没は美学の塊だった訳で、すごいことだ ! )。
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ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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