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(731) 多々老少子 と フィボナッチの 兎算

(731) 多々老少子 と フィボナッチの 兎算

(うさぎ) は、小さな檻 (おり) の中で文句も言わず小兎を産み、増え続けることで有名である。

♣ 兎の増え方を観察した 13 世紀のイタリア人に フィボナッチ という数学者 がいた。兎は生後一月半で子を産み始める。月を追うごとに子の数を記録したら 一年で どこまで増えるのか、を彼は数学的に考えた。その前提として 一つのペア (雌雄) 兎は、産まれて 2 カ月目から毎月 1 ペアの兎を産む; 兎が死ぬことはない。この条件で産まれた 1 ペアの兎は 1 年の間に何ペアーに増えるか?

♣ 答えをメモ用紙に逐一 (ちくいち) 書き記すと(図 1); (1), 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, 34, 55, 89, 144, 233; つまり 233 ペアとなる。フィボナッチはこの数列を観察して、ある規則性を発見した。つまり、1 の数から出発して、自身の数に、前の数字を足した和が 後ろに来る数となる、のだ。

多々老少子とフィボナッチの兎算

♣ たとえば 「2」 に着目すると、「2 + 1 = 3」、「3」に着目すると 「3 + 2 = 5」 といった具合だ。後ろに行くに従って大きな数になる。この面白い数列は 「兎算数列」 であり、「フィボナッチ数列」 とも呼ばれる。この数列は単に兎算だけでなく、自然界で 「ヒマワリの種の並び方、花びらや枝の生え方」 などの螺旋の中に発見される。もちろん、自然界は 数学だけで処理されるものではないから、無限にこの数列が 発散 するわけではない。

♣ このフィボナッチ数列のサンプルが 「人口増殖」 の観察にも見られる。図 2 は 「大和時代から現在までの日本人の人口経過」 を示す。徳川時代の 300 年 の ‘膨らみ’ は、部分例外 となるが、全体の図形はフィボナッチ数列の図形化である。

♣ 鎌倉時代の人口は 1 千万人 にも満たなかった 徳川時代になって 約 3 千万人に達し、鎖国による食糧事情によって人口はそこで 飽和 ; 明治時代で再び人口は急速に膨れ上がり、2008 年 (平成 20 年) でピーク に達した。これら人口の消長は その裏に歴史的背景が隠されているが、今はフィボナッチだけを観察しよう。

多々老少子とフィボナッチの兎算

♣ 私は初めてこの図を見たとき、思った ―― 何だ?日本人は兎算で増殖してきたのか? 我々は兎の一種なのか?と白 (しら) けたものである。そう言えば、日本の経済バブルが始まった 1965 年( 昭和 40 年)の頃、日本の鼻息は荒かったけれど、西欧の人々は日本人のことを 「兎小屋に住む兎算の人々」 と呼んでいたっけ。

♣ なるほど、たしかに その頃の大学生の下宿は 6 畳和室なら二人住まい・ トイレは和式で共用・ 風呂は銭湯であった。一般住民も似たり寄ったりで、日本住宅は彼らの目で見ると 「兎小屋だった」 のであり、まったく、今昔の念に打たれてしまう。

♣ 話を元に戻す。兎算増殖と言っても それは初期の増殖を示すだけであり、数列が無限に発散するものではない。発散が止まる 理由 : 餌・ 排泄物の世話・ 仲間喧嘩・ 病気・ 生活空間の制約 など色々である。

♣ 日本人口はフィボナッチ数列で増えてきたが、兎と似たような理由で 2008年 に 飽和のピーク を迎え、以後 収縮段階である (図 2)。そもそも人口が無限に発散して増えた前例は歴史的にはない。

♣ ところが日本の学者さまは真剣に日本のピーク後の人口収縮を憂えている。いわく、国富が減少する・ 国防上の危機が訪れる・ 老人福祉は存亡の瀬戸際だ . . . などなど。それはそうかも知れない ―― だがフィボナッチ数列は自然の中で ある限度に達したら、上記のような 理由 で 収縮するのが運命 なのである。それを憂えるよりも真の原因を考えるのが大切だ。

♣ 日本の人口増大の特徴は何か?それは 「多々老少子」 であって、戦後、老人は 7 倍に増え (4 % → 28 % ) 、子供は半分に減った (30 % → 1 5 % ) 。歴史的にこんな 「いびつな」 増え方で繁栄した民族があっただろうか? 老人が増えれば、子供は産んで貰えないのが道理ではないか?

♣ つまり、日本のフィボナッチ・エネルギーが 飽和・ 収縮 に陥った原因の多くは 「多々老少子」 であったのだろう。生命と言うものは 「子孫確保」 があってこその生命である。いま、将来を担う若い生命の数が足りているか?

多々老少子とフィボナッチの兎算

♣ 実際には、近年 人々が 「人生 100 年時代の到来」 のイメージに興奮する余り、人生後半の老人福祉に力が入り過ぎて、逆に前半若者のケアが「おざなり」になっている。その一つの表れが 「晩婚・老産」 であり、平均初婚年齢が 男 31 歳・女30歳(図 3)ーーーこれでは赤ちゃんの数に期待はできないだろう。

♣ 日本は既に1.2 億人余の人口を擁しているので、今よりも多産が求められる訳ではない。しかし、フィボナッチの兎算エネルギーを もうちょっと人生の前半と後半へ均等に注げないものか。つまり、老若のバランスを工夫して進んで行くのが正しい解決なのではないだろうか?1936字 

結論: 日本はフィボナッチ数列で人口爆発をする能力が潜在することを示した。 今後は人口の規模を他国と意味なく競わず、人口 数千万人程度の中堅国家として、ふさわしい平和と福祉の高揚を主張してはどうだろう? 日本の 「多々老・ 少子人口」 の異常さもこれで解決の道へ歩み寄るのだろう。

参考: * 新谷: 「日本女性の平均年齢は86歳か」、福祉における安全管理 # 466, 2014.

職員の声

声 1 : 人口減少の問題をどのように解決すべきか?(答: 老人福祉は 「長生きが目的の一つ」 となるが、人々が長生きすれば当然 少子が招かれる… みんなはこの矛盾を承知していなかった)。 

声 2 : どんな形であれ、無限に増殖する人口なんて無い、フィボナッチで限界が来なければ 別な形の終末が来るだろう… それらに共通な末路は何か?(答: 従来の繁栄の末路は 「飢饉・ 伝染病・ 戦争」などだった… それは ライオン・ 鼠・ 細菌類など すべての生物の運命であった… 最期には不満足な平衡状態が訪れる)。

声3: 環境的には何一つ問題の無かった若者たちの問題点は 「晩婚・ 老産・ 少子化」 だった… 若者たちは自分の将来を予測していなかったのか?(答: 生命は子孫あっての意義ある価値だ――今の日本は 2 千年前に栄えた ローマ のよう… 子が減り やがて 3 流国に落ちぶれる)。

声4: 「量より質」 を求める時代になれば、どの国だって 「多々老少子」 は通用しないだろう(答: 「多々老」 の上に もしも 「多々子」 が重なったら、結果は最悪の悲惨となるだろう)。
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ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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