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(727) 高 齢 の 一 人 暮 ら し

  (727) 高 齢 の 一 人 暮 ら し

一人暮らし老人の問題がいつになく厳しくなっている。

♣ 問題が二つある:―― それは 現在 65 歳以上の老人数は昔(4%)の 7 倍( 28 %)に増え、やがて 更に 10 倍(40 %)へ、――つまり、人口の半数近くが老人になってしまう。

独居老人は圧倒的に女性が多いが(図 1)、介護保険が始まった 2000 年以来の 10 年間で、比率でみると独居女性は 2 倍 に(11 %→ 20.3 %)、独居男性は 3 倍 (4.2 %→ 11.1 %)に増えた。独居老人の問題は深刻である。

♣ 女性の独居老人が多い理由は、一つには女性の方が長生きすること、二つには夫婦の年齢で女性の方で多くは若い事であろう。

高齢者の一人暮らし

♣ 高齢の一人暮らしの問題点、特に「食事・ 排泄・ 清潔・ 緊急通報」の 4 点は「人権問題」 に繋がる。その上 認知症の頻度は 85 歳で 40 % → 100 歳で 80 % → 110 歳で 100 % のように激増して行く 1) 。 独居で、しかも認知症という現実への対応は福祉問題を越え 世界の人類問題になっている。

♣ 人は夫婦であっても年月とともに どちらかが先に逝き、残ったほうは独居になる。その際、たとえ肉親の同居が望まれても、高齢になった子や兄弟は それぞれ家族を持っているし、一括同居はたいてい新たな問題を起こす。

♣ 親のほうも その大変さが予想できるから、ムリ押し をせず 独居生活のほうを選び、たいてい‘病気・ 死亡’ が発生するまで独居が維持される。けれど、独居生活は本人の強い意志による選択なのだから、第三者の口出しは たいてい不適当となる。そこで、独居問題の 将来展望 はどうなるだろうか?

♣ 私は人間の自由が尊重される社会なら 独居老人・ 孤独死の問題 は 現状のまま続くのではないかと思う。だって問題の老人は、「自由か さもなくば 束縛か」が問われているのであり、強制されない限り自由を選ぶのは自然であろう。

♣ その他に、今、あなたの周りに、同居しても いいよ、と言ってくれる現実の相方がいるだろうか?

♣ 昔の 「死」 は家庭での死が大部分であった。救急車の発達した 50 年まえから、これが病院での死 90 % に移ったが、それには様々な社会環境の変化、特に 三世代所帯 が 二世代所帯 に代わったこと大きく関与する。

♣ しかし今の家族構成からみれば、家庭での死は たとえそれが望ましくても実現には困難が多い。だからと言ってそれを病院に頼るのは 時代錯誤 である… 病院は 「治す所」 であって 「死ぬ場所」 ではない。それだけに、日本の環境変化に沿って逝く場所選びが望まれている。

♣ 多くの人々は 施設生活 を勧めるが、残念、需要に対して供給は特養で 15 % 、精神病院で 2 % 程度しかない 2 ) 。条件が劣る他の施設に入所を希望する人は僅かであり、大部分は独居生活のほうを選ぶ ―― 当り前でないか。ナゼ受け皿が少ないのか? それは莫大なお金がかかるからである !

♣ 特養の建設費は一床当たり 約 2 千万円; 平均要介護度’を 「4 ~ 5」 とすれば、運営費が お一人年間 約 500 万円(自己負担 1 割)、しかも希望する老人のすべてを収容する余力はない。つまり、国民生産に関与しない老人の お一人の社会的養老費がどんなに多くの予算を必要とするのかが理解できよう。

♣ 現実を見れば 日本の 「健康寿命」は、男・ 71 歳、女・ 74 歳 であり、国際的に比較してみても、これ以上 長くなることは期待薄である (図 2)。よって今後、健康寿命が大幅に延びるとは予想できない。もし全寿命が延びるとすれば それは依存 (病気) 寿命が長くなるだけ である――つまり、特養などの 「施設入所寿命」 が増えるだけだ。

高齢の一人暮らし

♣ 思えば 我々は 全寿命が 世界一 なのであるが、それの末期は誰でも 「病気・ 依存寿命」 であり、その年月は 男 9 年、女 12 年と長い。つまり、長生き = 他力本願 の長生きが延びるだけである。しかし国民に聴いてみれば、病気寿命を減らしたいと、現実とは矛盾することを望む。この不一致の矛盾はどう解決すれば良いのか?

♣ 強情を張って、最後の最後まで独居を主張すれば、老人は孤独死に至るかも知れない。それは、他人様には哀れに見えるかもしれないが、それも一つの 「避け難い運命」 だと覚悟したらどうだろうか? 当の本人は 高齢の認知症が進み、「時」 の概念が消失するから、 “死の不安” は無くなる。よって孤独死の不安は薄まっていく。

♣ つまり、人間関係は 「程よい距離感・ 忘れない視線」 だけが適切になるのだろう。したがって 「孤独死の周辺対策」 とは 当人の問題ではなく、「周りの人の焦り」 だけであって、他人様が過剰に感じる責任感とは異なるものではなかろうか。

♣ 一人暮らしの矛盾は、やはり 「一人暮らし」 で解決されるのだろう。 1960字、

結論: 老人が ますます長生きするのは天の祝福であるが、一定数の老人が独居生活によって 時には 孤独な生活に陥るのは、統計の眼でみれば、今後も存在し得るだろう。 彼らは彼らなりに自分自身の宿命が一番 幸せと思うのであり、本人の希望に沿ってあげるのが適当ではなかろうか? 家族・ 知人との 「程良い距離・ 忘れない視線」 が一番 有難いのではないか?

参考: 1) Robert Epstein, “ Brutal Truths About the Aging Brain”, Discover 10:48~76, 2012. 2 ) 斎藤正彦:(# 3)患者460万人以上 推計の 1.5 倍、YomiDr. (2013.6.30読売新聞)

職員の声

声1 : 私は将来きっと一人暮らしいなるだろう … 似た仲間と似た話題がはずむが やはり 「貯金」 は大きな柱です(答: 女性は結婚していても最後の 12 年程度は統計的に一人暮らしだ … 逆に男性は、そもそもスタートの若い時から一人暮らしの可能性が女性の 2 ~ 3 倍多い、男女別の傾向はたいした差が無いようだ)。

声2: 「老々・ 認々介護」、いずれも認知症になってしまえば もう 「どうしようもないよ ! 」( 答: 実務に勤めて感じることは、人間って身体の老化に見合った生活の望みで暮らしを調節すれば良いのに、心の望みは昔通りの高望みで身分不相応 … 乱れたバランスの結果、どうにもならなくなる)。

声3: 「認知症」 になっているが故に 「将来不安」 を感じることがないし、孤独死 だって怖くはない(答: それ故に 認知症は 「神さまからの最大の贈り物」 とも呼ばれるほどだ)。

声4: 本人と家族との間に 「程よい距離感・ 忘れない愛情」 が大事だと思う(答: スエーデン式だね、ところが案外にそれが難しい … 超高齢になると家族だって高齢、友達は少ないか居ない … お互いに心が乾燥してくる … 認知症になっても 「疎外感」 は自覚されるようだ)。
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ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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