FC2ブログ

(737) ぴんコロ ・ じわコロ の 現 実

   ぴんコロ・じわコロ の 現実

  「ぴんコロ」 とは 死亡経過の短さ を言い表した表現で、老人が 病気で苦しむことなく元気に長生きし、最後は寝付かずにコロリと死ぬことの標語である。

♣ 対義語 として、寝たきりが著しく長くて、じわりじわり死ぬ 「じわコロ」 があり、その中間の 「並みコロ」 という表現もある。

♣ あなたはどんな姿で逝きたいか?を尋ねられることはあまりないだろうが、2003 年に 第一生命 (経済研究所) が日本全国の 40 ~ 79 歳までの 男女 792 名 を対象に行った調査がある (図1)。

♣ 64.6 % が理想の死に方として 「心筋梗塞などである日突然死ぬ」 を選択しており、ピンピンコロリ を理想とする人が多いことを伺わせる。

ぴんコロ・じわコロの現実

♣ ぴんコロ を選択した理由としては、「家族にあまり迷惑をかけたくないから」 (85.9 %)、「苦しみたくないから」 (62.3 %)、「寝たきりなら生きていても仕方ないから」 (54.3 %)が挙げられている。

♣ ぴんコロ の場合、死亡診断書の発行が困難になると、病理解剖 に回されたりして、周辺の人たちの対応が大変なことがある。

図 1 のように、昔 心筋梗塞 は突然死が多かったが、今はすぐには死なず、3 度目の発作までは生き残れる時代になった。医療の進歩 で ピンコロ の病気は 「重症不整脈か大動脈瘤」 のような稀な病気だけに限られてしまった。

♣ 超高齢社会の現在では後記の 「じわコロ」 がほとんど、「並みコロ」 が 1 割以下、「ぴんコロ」 に至っては極めて稀になった。その意味で、図 1 の 「理想の最期」 に見られるパーセンテージはあくまで 「自分勝手な妄想」 に過ぎず、現実は 「じわコロ」 が大部分であって、それでこそ平和な日本と言えるのである。

♣ 「じわコロ」 はご存知のように 「老衰死」 の典型であり、ある意味では 人類 最高の理想死とも言え、しかも事故死ではないのだ。

♣ もし 「事故」 による 「急死」 を問題にするなら、図 2 を参照あれ。最近は 「交通事故死」 が 著しく減り、年間 一万五千 件 もあった症例が 1/3 に減少した 。

ぴんコロ・じわコロの現実

♣ それに代わって 「老人の三大事故死」 が表に躍り出た:つまり 「誤嚥」 (窒息)・ 「転倒」 (外傷)・ 「溺死」 (家庭風呂)である。要するに今の時代、死因のトップは老人の 「三大事故」 か、さもなくば 「じわコロ」 によるのだ (「ガン」を除く)。まさに我々は老人介護死の新時代をまざまざと見ているのである。

♣ 話 代わって、「じわコロ」 に移ろう。これは 「じわりじわり」 と長い死の床に就いた後逝く、という意味であり、現在の高齢社会を総代表する死亡パターンである。大抵の人は 「じわコロ」 は嫌だ、と言うけれど、日本では 「じわコロ」 以外の道で逝く方法は非現実的である。

♣ だって、人は 具合が悪ければ病院に しげく 通うし、齢をとれば各種の 「老人施設」 に入って、何としても長生きしたい ―― だから 「ぴんコロ」 はますます減り、 「じわコロ」 がどんどん増えるのは当たり前のことだ。

♣ 国も 20 年前に 介護保険 を設立し、その説明で、“病気であっても長がー く 生きていなさい (じわコロ) ”、を推奨している ... 介護寿命の延伸だ。もし、本当に 「じわコロ」 が 「嫌」 (いや)なのなら それを断ればよいが、どっこい 事実は逆 なのだ。

♣ お役所での介護認定は 障害数値 の高いものが切望される (例えば、要介護 2 より 3、3 よりも 4 など)。だからもし介護レベルの低い数値に認定されたら クレーム が起こり得る ―― 人々はもっと素直に 「じわコロ大好き」 と言えばいいのに、実際は逆なのだ。

♣ ヒトは案外に 「天邪鬼」 (あまのじゃく) であって、現実には極めて稀なピンコロを欲しがる。事実を見れば、超高齢社会の現在で 圧倒的に多い病気は 「老衰関連病」 であって、その多くの終末は 「誤嚥性肺炎」 と その後に続く慢性の 「フレイル・ 体力衰弱」 である。

♣ しかし大多数の我々は普通の矛盾多き人間でもあるから、「口」 (くち) では「ぴんコロ」を願うけれど、現実には 「じわころ」 を切望し、それもできるだけ永い期間の 「じわコロ」 を求めているのだ。例を挙げれば、パールでも、「胃瘻で 10 年間」 、および 単なる 「じわコロ」 19 年 と 17 年という 超長期の 3 人の方々が 昨年 やっと世を去られたほどである。

♣ 若年時代の医療は 「健康回復」 が目的だからそれも建設的と言えるが、老齢期の 医療・ 介護 は人生回復ではなく 「ヒト・ モノ・ カネ」 のたっぷり掛かる慢性延命の目的とも言えよう。

♣ 私が不思議に思うことは、西欧では 「老人医療と食事介助」 には 案外に 消極的なことだ。想像するに、そんなことをしても 「じわコロ」 期間を延長するだけの 「慢性延命処置」 だ、と思うからだろう。事実、スエーデンなどでは 「寝たきり老人」 がいないという定評がある 。

♣ 思えば、「じわコロ大嫌い」 なハズの日本が 「血液透析 や 胃瘻」 などの 「ジワコロ手技」 に強く固執するのはナゼなのか?(西欧ではあり得ないことだ)。つまり 日本社会の本音は 「じわコロ大好き」 なのだ。今をはやりの 「ぴんコロ祈願」の寺社参詣は本心ではないのであろう。

♣ だったら、「じわコロ大好き・ ぴんコロ大嫌い」 とはっきり公言したらどうか?その方が素直だし、対応も し易いのではないか?1841字

結論:  多くのヒトは 「ぴんコロ願望」 と言うが、こと高老になってからの 「ぴんコロ願望」 は 「無いものねだり」 の典型である。 国は介護保険で念入りな 医療・ 介護 を奨める。そして 国民は建前の 「ぴんコロ」 を忘れ、本音の 「じわコロ」 を強く求める。 そんなに思うのなら、あっさり 「じわコロ ダイスキー ! 」 と明言したら 正直なのになー?


職員の声

声1: 戦後日本は 「人生 50 年」 だったが、近年 政府支払いの老後援助によって 「人生 100 年」 に変わった(答: ただし健康な長生きもあるが、特徴的なことは 「介護寿命」 が著しく延びたことである)。

声2: 老人の代弁をするのは家族であり、親を思う気持ちが 「じわコロ」 を選ぶのでしょう(答: 昔には 「じわコロ」 が許されるほどのお金は無かった … 今は親孝行を他人の財布で行うようになったから 大繁盛 ... 死ぬまでの お一人の経費は、10 年間で 5 千万円、20 年間なら 1 億円 掛かるのである)。

声3 :  日本の高齢者は 実質ほぼ 「じわコロ」 希望だから、その経費調達たるや大変(答: スエーデン は寝たきり老人がいないことで有名だ… つまり彼 (か) の国は 「じわコロ」 が 許容されにくい国なのである)。

声4: 私は 長寿は幸せと思っていたが、いざ長寿になってみると、死にたくない という 辛い気持ちでいっぱいのようだ(答: 佛さまでさえ、80 歳で食中毒のとき、死にたくはなかった と伝えられているよ)。
プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
安全管理 ふじひろのページ

最新記事
全ての記事一覧
月別アーカイブ
カテゴリ
リンク
QRコード
QR