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(736) 図 説: 正 し い 延 寿 年 齢 の 設 定

(736) 図 説: 正 し い 延 寿 年 齢の 設 定

ヒトの平均寿命がやがて 100 歳になるという明るいニュースが広まっている。あなたが観察する 90 歳の人・ 100 歳の人、両者の健康度合いを比較して、このことが実現するかどうかを見てみよう。

 アメリカ: 平均寿命 100 歳が 2080 年 に実現すると言う 1 ) 。1880 年から 2000 年までの過去の資料を観察すると、平均寿命は毎年 3.4 ヶ月ずつ延びている。これを基に将来を 外挿 すると、100 歳に届くのは 2080 年である。

図説:仇しい延寿年齢の設定

問題点:1880 年の平均寿命が 40 歳という資料は信じ難い。これは 「人口ピラミド」 の言葉通り、 大量の乳幼児死 がそのまま平均値計算に組み込まれたからだ。

日本: NHK は平均寿命 100 歳が 2045 年に実現すると言う。
NHK スペシアル (2014 年 1 月)の ネクストワールド (予測する未来) はこう述べる:―― 先進国の寿命は過去 1 日 5 時間と云うスピードで延び続けたので、2045 年には平均寿命が 100 歳に達し、若くて健康な老後時代 が来る、という将来を語る。
結論:――
アメリカ も NHK も、ヒトの命は 「過去の資料を将来へ外挿することによって計算できる」 という姿勢である。外挿法が適切かどうかを次の別資料で併せ見てみよう。

図説:正しい延寿年齢の設定

過去の資料は幼若死が多数 (図下)、これでは平均寿命の数値が著しく少ない方へ引っ張られる。平均寿命の定義は「0 歳の新生児が将来 何歳まで生存できるか」 を計算するものである。つまり で見られるように、戦後の平均寿命は著しく低めに計算され、逆に近年のそれは 幼若死の影響が微小になるのだ。
(例) 100 歳・ 0 歳 各一人ずつ亡くなれば、平均 50 歳の人・二人が亡くなった計算となる。つまり昔の平均寿命は低めに計算されていたことが分かる。昔の平均寿命 70 歳は幼児死亡を除くと 80 歳、またはそれ以上かもしれない。

図説:正しい延寿年齢の設定

現在は老人死が主体であって (図下)、幼若死は少数;よって死亡者年齢はおよそ老人そのものの実数値。近年は幼若死の影響はほとんど無く、死亡数といえば老人の死亡数のこと、つまり老人死の実態が幼若死によってほとんど影響されていない。故に、統計的に計算された老人の数値は実際の数値に近づいている。

図説:正しい延寿年齢の設定

 ヒトの資料は過去の傾向を将来に向かって外挿 (がいそう) することは危険である。
身長 男: 15 歳以後になると身長はもう延びず、ほぼ水平となる!
身長 女: 13 歳以後で ゆっくりと水平に変化する。
 問題はある年齢範囲の延び率を、それ以外の年齢範囲に外挿してはいけない、ということだ。

図説:正しい延寿年齢の設定

100 歳寿は急速にふえるが(下図)、その裏腹に、年月と共に 107 歳に向かって急速に減衰する(更に下図)。100 歳がどんなに多くなっても、107 歳に向って しまえば あらかた消え失せてしまうのだ。これが ヒトの天寿の大きな特徴と言える。あなたの実感でもあるでしょう?ーー なるほど、確かに 100 歳は増えたけれど 107 歳って あまり聞かないなー !

図説:正しい延寿年齢の設定

図説:正しい延寿年齢の設定

 過去の資料を正直に図面化した場合。
アメリカ や NHK の資料では 「平均寿命」 は毎年延伸する」 という前提で分析されていたが、ゆっくり観察すれば 図下 のように “水平” に近い。寿命は、身長に似て、無限に延伸するものではない。ヒトの老化関連の健康状態を観察すれば、平均寿命は単に 90 歳程度の値に近づいて行くだけではないか。

図説:正しい延寿年齢の設定

結論:
日本で 「平均寿命 100 歳の時代がやってくる」 は間違った幻想であって、そんな日はたぶん来ないだろう。 日本女性の平均寿命は今 87 歳、今後 幾らかは増えて、90 歳あたりまで行くかもしれない。 100 歳でない人が 100 歳を達成成するのは 2000 人に お 1 人 2 ) 。特養 「パール」 で良質な介護を重ねた現在の最大寿命は 108 歳の方がお二人、平均寿命で言えば 91 歳で長らく止まっている。

参考: 
1 ) Gigazine 「平均寿命100歳の世界で人はかつてないほど充実した人生を送れる」;2004.9.22. 2 ) 新谷: 「100歳の壁}、認知症 なぜ なぜならば、p152, 2019.4.7 ドメス出版。

職員の声

声 1 : 過去の資料は、多数の 乳幼児死亡数 と、少数の 老人死亡数 と、を併せ平均したので不当に死亡年齢が低い結末になった(答: その通り … 現在は乳幼児死亡が微少なので、老人死亡年齢がほぼ現実の高齢値を反映している)。

声2: 平均寿命は 「毎年上がる」 と信じている人が多いので、キチンとした説明が必要だ(答: 毎年 平均年齢が微増するのは事実のようだが、カーテンを窓いっぱい 横に引くようなもので、上がったとしても最大値には おのずと限度がある。ヒトという動物の 平均寿命 は 他の動物のそれと似て およそ定まっているとみられる(例: ネコは15年、ゾウは50年など)。つまり種 (しゅ) としての平均値は 100 歳には届かず、ましてや 110 歳と言えばムリがあるだろう。

声3: 100 歳達成にはコストが馬鹿にならないし、みんなが 100 歳の実現希望なら世界の経済は破綻するだろう(答: 70 歳~ 100 歳の 30 年間の経費を概算 してみる … 月 20 万円 を 12 ヶ月 30 年 = 7,200 万円; もし要介護 5 なら 1 億 3 千万円掛かる。パールの 108 歳の例は 国費を使う介護保険だからこそ 108 歳が可能だったのである)。

声4: 長生きは素晴らしい事だが 「幸せ」 は別物です(答: 脇から見る皮肉ながら、長生きは 「辛い」 という人が少なくない… その辛さが軽減される唯一の道は 「認知症」 の合併であり、認知症なら中核症状の 「失認・ 失語・失行」 によって長命が苦にならなくなるのである)。
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ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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