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(746) 蛙 の 認 知 症

(746) 蛙 の 認 知 症  

  蛙たちは 水の生活と陸の生活を得意とする 生命進化のうえで 特異な地位を占める 愛らしい動物である。とかく 蛙は諺の引き合いに出されたり、脳の働きの点で 「人類の大切なご先祖」 として 見つめられたりする 重要な生き物なのだ。

♣ 今日は 「蛙と人の認知症 (痴呆) 」 を比べて見よう。ちなみに 「痴呆」 (ちほう) という病名は 2004 年に厚労省によって 「認知症」 と改名された; 「痴呆」 は差別的な匂いが濃厚だと言うのが その理由だが、外国では 「痴呆」 のままである (dementia)。でも、もし蛙に痴呆があったとしても 「蛙の認知症」 とは言わないだろうか?

♣ さて、ヒトの認知症の症状に出会うと、私どもは しばしば戸惑う。‘まとも’ のようで 頼りない、丁寧でありながら ふしだらだ、セクハラをしたり しなかったり . . . 悩みは尽きない。

♣ ヒトの脳を実際のサイズでなぞらえると、「竹輪 (ちくわ) サイズの原始脳」 (脳幹) の上に 「キャベツ・ サイズ の高次脳」 (大脳) が乗っている状態とみられる ( )。

♣ 「原始脳」 は 頭蓋骨の底にあり サイズは小さいが、「食・ 性・ 呼吸・ 恐怖」 などの生命の基本を司り、一言でいえば 「本能」 の塊を支配する。他方 「高次脳」 (大脳) は 頭蓋骨のほとんどを占めるほど大きく、「認知・ 記憶・ 抑制 や想像力」 を司り、それと同時に、小さくて したたかな 「原始脳」 の働きを調整している。

蛙の認知症

♣ これを「建物」の 比喩 (ひゆ) で言えば: 1 階部分は原始脳、2 階部分は高次脳と見られるだろう。もし、地震で家屋が崩れてしまうと、2 階の機能は低下~消失、1 ~2 階の間にあった連絡もなくなり、逆に 残っていた 1 階部分の働きが目立ってくる。

♣ つまり、ヒトは最期まで 本能的な脳幹部分 は温存される仕組みだ。特に 「異性」 に興味を持ったり、男女区分の抑制が曖昧になり易くなる。逆に 女性は男性に対して恐怖を抱く場合もある。

♣ 2 階部分の 「高次脳」 は、動物の中では、ヒトでもっとも発達しており、それだけに それが崩れた場合の損害も大きく、それが 「痴呆」 の症状として現れる。でも、2 階部分 (高次脳) は 一斉に壊れるのではなく、少しずつ壊れていくから、1 階部分の原始脳を抑制する能力も、パラパラ と不均等に低下する。

♣ その結果 「まだらボケ」 という、理解しにくい症状が発生する ---- あるときには正常な行為が、別なときには異常な行為が共存し、それがとても不思議に感じられる。

♣ イヌ や サル にも、小さいながら 大脳 が存在するので 高齢とともに痴呆が発生する。しかし、蛙 や 虫 には 高次脳がないので、痴呆は発生しない。蛙や虫には 「親切な蛙」 や 「親切な虫」 がいるハズはない 1 )

♣ だから 「蛙の認知症」 というものは 存在しない。もし このことから学ぶことがあるとすれば、“認知症 と 親切心 とは そもそも共存しない概念だ” ということでしょうか。

♣ つまり ある人が 「認知症であり親切」 という現象はありえず、老人をケアするうえで大切な予備知識と言える。1245字

参考:  1 ) 新谷: 「親切な蛙」 ; 福祉の安全管理 # 145, 2011.

職員の声

声 1 : 「高次脳機能のない蛙には痴呆がない」 という表題が印象的だった; よく理解できた(答: 痴呆とは “いったん獲得した知能が、なんらかの理由で失われた状態“ 、である; 蛙は そもそも 「知能を獲得していない」 から、痴呆もありえない、とも言える)。

声 2 : 大脳の働きが鈍ると、蛙のようになる、とは驚いたことだ; 「原始知能と高次知能の違い がとても」 よく分かり、ケアに活かせると思う(答: 高次脳が消失すると、ヒトの場合、寝たきりになる; だって神経細胞は再生しないから)。

声 3 : ヒトの脳が 「二階建て」 という説明が分かり易く、これで ケア・ワークで よく見る 「高次脳機能障害」 という診断書の意味がよく理解できる(答: つまり “蛙の脳に近づきつつある” 状態、と言うことである)。

声 4 : 犬や猫にも痴呆があるとはオドロキだ(答: 愛玩動物の 栄養・ 待遇 がよくなり 長命になるにつれ、犬の痴呆はしっかり増えてきた; 猫にも痴呆があるが、猫は屋外生活が多く 自然淘汰 (とうた) されるので、目立たない)。
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ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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