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(758) 独 り 暮 ら し と 介 護

(758) 独 り 暮 ら し と 介 護 
 
いま、社会的に一番 関心のある標語といえば 「安心して暮らせる老後の実現」 ではないだろうか?

♣ 日本は世界で一番の長寿の国になって長くなる。40 年ほど前には(1980 年ころ、バブルの真っ盛り)、「元気で長生き」 が関心のある標語だった。ところが、今では 「病気でも長生き」 、つまり 「何が何でも長生き、病気であっても 治療や介護によって トコトン 長生きを続けたい」 という願望がある。在宅介護で訊くと 「人の世話になりたくない、なんて生意気なことを言ってはダメよね」 という声がある。

♣ この 40 年間で、社会の構造や認識が変わってしまった。統合失調症 (分裂病) や認知症 (痴呆) を患う超高齢者が介護者する人を 攻撃 ・ 損傷を与える、という . . . 以前には考えられなかった事件が発生する今日この頃である。

にあるように、若くて 心身・ 経済的 に独立できる年齢の一人暮らしって 明るく美しく魅力的である。だが病気を患う、ある限度の高齢に達するなどの場合、なかなか同棲できる相棒を確保することは困難のようだ。

孤独と介護

♣ 先年、名のある女優の 飯島愛さん がパール近所の インフォス・ タワー で亡くなり、 大きな反響があった。死後 2 週間ほど経過しており、警察の発表によると 「事件性のない孤独死」 、62 歳だった。病名は ギラン・ バレー 症候群 という特別な病気で、10 年前から、治療に取り組んでおられた由。

♣ この病気は 「自己免疫応答」 の不全によって発病する神経疾患で、筋肉が下肢から上に向かって徐々に麻痺が進行し、最後には呼吸ができなくなって死に至る。年間、10 万人に 2 人の頻度 (東京なら毎年200人発病)

♣ このような 難病 の中には 「筋側索硬化症」 、「筋ジストロフィー」 などの病気がある。それにしても、なぜ、これほどの有名人が一人暮らし だったのだろうか? びっくりである。

♣ 日本の家庭は戦後 20 年ほどを堺にして、ずいぶん変わった。その昔、ある程度の暮らしの家庭では、玄関の隣りに 「書生部屋」、台所の横には 「女中部屋」 があり、住み込みの 書生・ お女中 が居たものだ。

♣ 日本では 1970 年ころから経済バブルが始まり、一日 8 時間・ 週 40 時間という労働形態 が推し進められ、住み込みの 「お手伝いさん」 という労働形態は不可能となった。現在でも、よほど稀なケースでない限り、書生や女中の住み込みを聞くことはない。

♣ 第一、家庭で余分な部屋はふつう存在しないし、住み込みの労働時間から計算すれば 月給を お一人に 50 万円 ほどあげなければならず、今どきの家の主人にそんな余裕がある人は稀だ。では、良き昔を懐かしんで、あの労働形態を復活させようとする動きがあるだろうか? たぶん、誰も その実現は不可能と思うだろう。

♣ 介護保険制度は、今年の 4 月で 19 年目に入った。社会で支え合う目的とは裏腹に、現状は介護の 「安心」 からは ほど遠いところもある。「老々介護」 や、認知症の高齢者がお互いの連れ合いを介護する 「認々介護」 も珍しくない。

 ♣ だって平均年齢は、戦後 55 歳 ―― 今は 87 歳 … 人々は30 歳程 年寄りになって、昔の 祖父母の齢 が今の 父母の年齢 になったのだから 「認々介護」 もやむを得ないだろう。またこれによって、介護疲れによる 殺人・ 無理心中 も跡を絶たないという。

♣ でも、でも 、「老々介護」 や 「認々介護」 は 「二人暮らし」 なのである !! 二人暮らしなら 独り暮らしの孤独に比べれば 「天国」 だと思うべきではないか。東京の、ある区の介護認定審査会でも、提出されるケースの 1 / 3 から 1 / 2 は 「一人暮らし」 が現実である。夫婦が二人とも健在という年齢限度は 85 歳くらいまでなのか?それから先に来る超高齢時代に二人とも健在だとしたら、家事諸般は誰が受け持つのだろうか?

♣ 上に述べた 飯島愛さん は 2 回の離婚歴がある由、しかも 一人暮らし。そして、62 歳にして死後 2 週間での発見 ! それに比べれば、二人暮らしは 「長寿でご生存なのだから最高な幸せ」 と認識すべきであり、「老人は安心して暮らせない」 など、文句を言い始めたら バチ が当たる。いま時の高齢者は 「何が何でも長生きしたい」 と思って 欲張っているのだろうか?

♣ 認知症の夫婦が、または 親子が お互いを介護するって、他人の眼では可哀そうに見えるが、実際には 美しいこと なのである。中には、親の年金を目当てにして自分が食べるために 親の死を役所に届け出ない子供の例もあるけれど。

♣ 歳をとれば 誰しも枯れてくるその不足を補うのが 私ら介護職員 である。私は 「認々介護」 という、他人事のようにふざけた表現は不適切だと思っている。

♣ 古き 懐かしき 「大家族制度」 を横目に見、超高齢社会を求めたのは 私たち国民 なのだ … 誰しも、ある年齢まで二人暮らしの日々を楽しんだ後、「必ず」 一人暮らしになる、という 現実に直面するのだ。そして それは人として 自分で選んだ天命ではないだろうか? 1943字

要約: 人は戦後の努力によって寿命が 55 歳から 85 歳まで 30 年ほど、つまり人類の一世代ほど延びた。昔の 祖父母の年齢 が今の 父母の年齢 になり、心身・ 経済ともに延びたのである。 昔は 四世代・ 三世代 の生活であったものが、超高齢になった今はなんと 二世代 または夫婦二人の、更には 独り暮らし を送るようになった。 それにつれて、いろいろ 沢山の新しい問題 が発生してきたが、その問題は我々自身が望んで獲得した 「超高齢」 に伴うものであるから、我々自身が喜んで解決しなければならないのである。
 
職員の声

声1: 「認々介護」 という言葉を初めて聞いた。「老々介護」 「認々介護」 は二人暮らしだから、一人暮らしよりマシだろう(答: 夫婦であっても長生きした方がいずれ一人暮らしになるのは避けられない)。

声2: 飯島愛さん、「死後 2 週間で発見」は いいほうなのか?悪いほうなのか?(答: 確かに、ミイラになって発見される場合もあるし、中には、親の年金で自分が食べるために 親の死を届けない事例もある . . . )。

声3: 認知症の夫婦が、または親子が お互いを介護するって、美しい と思うけれど(答: 中には 鎖で相手を縛って食事を食べさせるって事例もあった)。

声4: 私も老いと向かい合う日が来る; 老いの結果、足らない所を補うのは、家族なのか他人なのか(答: 私は他人のほうが気楽だろうと思う; 私も こんなお年寄りを看て行く この仕事が好きだ)。
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ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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