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(750) コ ペ ル ニ ク ス と 介 護

(750) コ ペ ル ニ ク ス と 介 護 
  
 コペルニクスの話から入ろう(図 1)。

♣ 彼は 16 世紀のポーランドの牧師 兼 天文学者で 「コペルニクス的転回」 という言葉で有名である。まだ望遠鏡が発明される以前に、彼は空の星々を肉眼で観察し、キリスト教で取り入れられていた 「天動説」 を否定、代わって 世界観が 180 度 転回する「地動説」を提案する予定であった。

♣ 天動説とは 「地球は不動であって、星々は地球の周りを回っている」 という考えであり、地動説とは 「その逆」 を考える説である。でも もし地動説を世間に発表すると、彼は教会に迫害されるに違いない。そこで彼は自分が死ぬ、まさにその日を選んで 「地動説」 という本を出版した … 用意周到な事だ。

♣ その時代、人や世の中は神の “お計らい” によって 「特別に創られたものである」 と信じられていた。しかし、コペルニクスの意見では、「我々は神に特別扱いされているのではない」 ( We’re not special); 「天」 こそ不動であって、動くのは 「地」 である」 という控えめな地動説を述べただけだった。

♣ 彼の死後、その説が広まるにつれ、その世界観は徐々に人々の受け入れるところとなり、固定された古代の 世界観・ 天動説 を 180 度 転回した立場で見直す、という姿勢が生まれて来た。しかし、宗教の世界は 俄かには変わるハズもなかった。また 彼を罰しようにも、彼はもうこの世の人ではなかった。

♣ コペルニクスの半世紀あとの 17 世紀、イタリアの ガリレオ・ ガリレイ が 世界初・自作の望遠鏡で 「月の山々」・ 「太陽の黒点」・ 「木星の 4 大衛星」 の観察結果を発表した。

♣ ところが、たちまち彼は教会に呼び出され、「聖書の記述に違反する反逆の罪」 として 「火あぶり」 にされかけた (図 2)。ガリレオは難を逃れて自宅で蟄居 (ちっきょ) 、世を去った。

♣ その後バチカン教会が自己の誤りに気づき、ガリレオに 罪のお許し を出したのは、日本で介護保険が実施された 2000 年のことだった —— 私は新聞でその記事を読み驚いたものだったが、その昔の教会権威とは強力なものだったのだ。だって、教会の正規なお許しが出るのに 400 年も掛かったのだから。

♣ さて、人間の能力が 他の動物とは画然と優れている点を 三つ 挙げてみよう:――それは、 (容積が 600 万年前 600 cc、今 1400 cc)、 声帯 (その位置が 猿のものより下方に下がり、声の多様性が可能 → 言葉がしゃべれる)、 (手が文明の全てを創る)。

♣ 「脳」 については良く語られるが、脳がどんなに良くても、その意思が 「声」 で伝えられなければ何も動かないし、「手」 で作業しなければ何も創れない。

♣ 人間の脳の特徴は、単に大きいだけではなく、情報入力に反応する出力形式が優れていることだ。つまり反応結果が 「すぐ」のこともあるし、 「一週間後」 のこともあるのだ。

♣ その一週間のあいだ、入力された情報は、出力されることなく、脳の中で ぐるぐる まわっている。この現象は 「ヒトだけに特有」 であって、これを「① 考える」と呼ぶ。

♣ 考えた結果は 上に述べた の「」で仲間に伝え、または の「」で現実を創って行く。驚いたことに、この ① ② ③ の機能は身体の遺伝子に組み込まれており、先祖から子孫へ伝わって行く。

♣ 人間は その後も優れた脳の機能を発揮し始めた。例えば、ヒト遺伝子には 更年期・5 0歳 までの生命方針が書かれているが、そこには書かれていない 「敬老精神」 というものを 「知恵」 によって開発し始めた。

♣ 「敬老」 とは単に 「年寄りを尊敬する」 だけではなく、近年は心身の老いた不自由な老人のお世話をするということに発展した。これが日本で 20 年前に実施された 「介護保険」 である。考えても見よ、人間はいつの時代からか、老いた親の口元に餌を運ぶようになった。

♣ これが人間の 「敬老精神」 の始まりだったのである。これこそ動物の本能とは全く異なる行為であり、言ってみれば、世に驚く 「コペルニクス的転回」 と言えるだろう。人間は賢くこれを身体本能と同じように受け継ぎ、大成して見事に 「介護保険」 = 社会的本能 に漕ぎつけ、それを世代間で正しく伝えるようになった。

♣ 「介護保険」 は日本ではまだ 20 年の経過に過ぎず、諸外国でも 歴史の浅い領域だろう。しかし、「身体本能ではない新しい社会本能」 をスタートし、それが継続してされている点、「まことに子孫に伝える価値の高い社会的行為」 なのである。

♣ 「介護保険」 こそ 人智の 目覚ましい 「コペルニクス的転回」 であって、それが高く評価される所以なのである。 1890字 

要約: コペルニクスの後、400年前にガリレオは合理的見解で天地を見つめ直したたが、それはたちまち抑圧された。 ヒトは 「頭で考え、声で伝え、手で創造する動物」 であり、時代の変遷とともに考えることが抑圧を逃れ、弱いものを助けるという行為が受け入れられる現代になった。 体の遺伝子ではなく、心の遺伝子によって今では 「人間らしさの思想」 が受け入れられるようになり、現在の介護保険が社会に根付くに至ったのである。
 
職員の声

声1: 動物は弱ければ淘汰されるが、ヒトは助け合える、ヒトの本能は素晴らしい (答: 頭で考え、声で伝え合い、手で実行する … このことが人類の優れた素質ですね)。

声2: 恐竜も時代と共に進化した … 「今を生きている私たちも」 社会的に進化するのは当たり前ではないか (答: 税金を払って保護を受ける … いつまでもこんな 受け身の制度 ではなく、ヒトは社会的本能を掘り起こして介護に乗り出したのだ)。

声3: 介護の進歩には 技術 だけではなく 思想 の両面で歩調を合わせる必要がある (答: 単なる 食事介助 をするだけではなく、 「敬老の心」 があってこそ立派な介護が完結する)。

声4: サルと同じ先祖を持つヒト …「頭・ 言葉・ 手」 を発達させて介護保険を創り上げた (答: どこが違っていたのかな?少なくとも 「頭」 だけではなく、コペルニクスのように 「言葉も手も」 みんな使って意思を貫いたのだろう)。




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Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

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