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(771) 老 化 は 人 間 だ け の 特 権

  (771) 老 化 は 人 間 だ け の 特 権
 
世の中に高齢者がいっぱい存在している中、皆さん方は 「加齢が人間だけの特権」 と改めて聞けばビックリするだろう。

♣ まず 「加齢」 とは一年に一歳ずつ年齢の数値が増えることであるが、小学生が 「加齢する」 とは言わない。それは 「成長」 と言うし、成長が終ったら 「成熟」 であり、ここまでの年齢は遺伝子によって完全に管理されている。

♣ 生命は 成長・ 成熟 とともに繁殖を始め、子孫の確保が済めば一生を終える。ただ し人間だけは例外で、繁殖を終えた時期から 「老化」 のステージに入る。老化の初期は 「更年期」 とも呼ばれ、以後 子を産まず、従って生命進化の道からも外れた 「第二の人生」 となる。

♣ さて、「老化」 にはいろんな定義があるが、意味する所は 病気ではない 「更年期以後の心身機能の低下」 と言えば当たるだろう。病気なら ある人 ない人 さまざまだが、老化は必ず誰にもある。びっくりすることだが、老化は 自然界の 動物には存在せず、人間だけにみられる現象なのである ! え ナゼ?とあなたは思う。

♣ 自然界の動物は 「生存と繁殖」 をして、命を子孫に繋ぐ以外の目的はない。子を産み 育て終えると その目的は達成されるので、世代は交代され 命も子孫に渡される。これは 「進化」 の王道であり、地上のすべての生命が 過去 38 億年 に亙ってやり続けて来た道である。つまり動物は子を産み終えたら世を去ってしまい、更年期にも老化現象にもご縁がない。え 本当?

♣ でも、不思議に思わないで欲しい … 我々人間だって 戦前はそうだったのだ。その頃、人の寿命は更年期の手前 40 歳ころで終わり、その後の老年期を迎えられる人は特別な人に限られていた 。「お爺さんは山へ芝刈りに、お婆さんは川へ洗濯に出かけました」 と童話にはあるが、その昔は 40 歳 前後を爺 (じじ) ・婆 (ばば) と呼んだ (図 1) 。今なら その 2 倍の 80 歳を越えたころ やっと 爺 (じじ) ・ 婆 (ばば) と呼ばれる。

♣ では、ナゼ今、世の中に長生きの人間が増えたのか? それは人間には 「知恵」 があったからであり、近年の福祉と 「衣食住・ 電水熱」 の環境コントロールにも成功したからである。これらの要素無くして 庶民が老人になることは不可能であり、老化は 「知恵」 の勝利といえるだろう。

♣ 死亡の主因である 「飢餓・ 災害・ 捕食・病気」 などに対して 遺伝子 (DNA) はほとんど無力であり、特に 「老いた体を守る」 ことは遺伝子の役目ではなかった――分かりやすいイメージとして、鮭は産卵したあと やがて死んでしまう…一般動物もそうである…. それを頭に描けばよい。

♣ つまり、そもそも老化とは人が生きて行くうえで 「順当な現象」 なのだろう。それは 「ストローラーの 4 原則」 で容易に理解できる。老化は大別して 「病的老化」 と 「生理的老化」 に分けられる。病的老化は、病気、 たとえば 糖尿病や高血圧による動脈硬化などで引き起こされる老化であって、病気の人には早く老化が訪れる。

♣ これに対し、生理的老化は更年期以降に遅かれ早かれ、誰にでも必ず起こってくる心身の老化であり、老年学者・ ストローラー はそれを 4 大特徴 に分けた。 内因性 (遺伝子が決めている) 普遍性 (すべての人に必ずある) 進行性 (ジワジワ進行し、後戻りしない) 有害性 (常に体へ不利をもたらす ) 図 2)。たとえば、老眼、白内障、難聴、女性の閉経、骨粗鬆症などは誰にでも起こる訳であって、避ける手立てはナイ ! これを何に例えれば適切だろうか?

♣ 自然界の動物の死にざまは 繁殖が終ったらさっさと死んでしまう 「ピンコロ型」 である。これに反して私ら人間の平均的な将来は、更年期 → 生理的老年期 → 病的老年期 → 逝去 と、時間をかけるのが常であって、死にざまは 「ジワコロ型」 である (統計データによると、日本人の病気寿命は 女 12 年・ 男 9 年 であって、ジワリ ジワリ と逝く)。

♣ つまり人間は、このところ 「50 年 の繁殖期と 50 年 の老年期」 を持つ 「ハイブリッド生命 になったと言える。しかし、人は 前半の 50 年 を十分エンジョイして文句を言う人は少ないが、後半の 50 年 については不満がある …後半が 50 年 では 足らない、と大抵の老人たちは不平を述べる。

♣ 何をおっしゃる ! ! 生き物が子を産まずして 50 年 もの長い間 のうのうと 生きていられるって、38 億年 の生命史の中で 前例のない 特別な特権なのだ ... 永く生きたかったら、永く子を産むべし ... 子孫の誕生から離れて永く生きる生命は他にはない ... これぞ生き物の宿命である。

♣ 「加齢・ 老化」 表す言葉はあまり好まれないが、人間は 「老年期」 という、一般動物には決してない (有難い) 期間を近年に獲得したのである。老年期は繁殖期と同じだけの長さの 50 年 があり、動物の せわしない 「ピンコロ」 とは違って、ゆったりとした 「ジワコロ」 で人生の幕引きが出来るのである。この長い老年期に何の 不満・ どんな不平 があると言うのだろうか? 1963字

要約: 生命は すべて 「発育・ 成熟・ 繁殖」 の道を歩んだあと世代交代をするが、近年の人間だけは繁殖の後に 「老年期」 を余分に迎える。 生理的老化の 4 大特徴 は 「内因性・ 普遍性・ 進行性・ 有害性」 であり、特養の入所者は ごく普通に この道を歩んできた人々である。 私たちが もし夏目漱石  (なつめそうせき) のように 「明治時代」 に生まれていたら、漱石と同じように「 49 歳」 で天寿を迎えることになる。その 2 倍も生きていられる私たちは現代の仕組みに感謝しようではないか。

参考: ハイブリッド =  異なった要素を混ぜ合わせ 組み合わせたもの。例として「 ガソリン・ 電池」 の両方をエネルギーとして用いる 「ハイブリッド自動車」 。

職員の声 

声1: 人生 50 年は短かすぎるが、100 年は長すぎる(答: 100 歳の人の心身を観察すれば、このことが良く納得される)。

声2: 老化があるのは 「人間だけ」 なんて考えてもいなかった…. 犬や猫などの動物にも老年期があると思っていたが、違うのか?(答: 人間に飼われている 犬・ 猫 は 人間と同じように寿命が 2 倍老化し、癌・認知症にもなる。だが自然界の動物は子を産み育てたら 老年期などなく 早々と死ぬ 。人間の庶民も 「戦前は」 子を産み育て終えたら 認知症になる余裕などなく、爺・ 婆 になる前にみまかっていた)。

声3: なぜか 「ピンコロ」 を薦 (すす) める自治体もある(答: 経費が一番安上がりだからでしょう … ジワコロ10 年 (10年かけてジワリジワリ死ぬこと) なら約 5,000 万円の医療・介護の出費となり、その多くは自治体の経費で賄われるからね)。

声4: 人生後半の 50 年を 「健康で楽しく」 生きられれば本当に喜ばしい(答: 遺伝子は後半の人生を保護してくれず、癌・ 脳卒中・認知症などへと導く … たとえ どんな病気があっても、我々は 「健康や楽しさ」 より も 「長生き」 を優先する生命体なのである)。
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ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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