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(768) タ ダ と ラ ク の ひ み つ


(768) タ ダ と ラ ク の 秘 密

 その昔の昔、人類の祖先は 主として 狩猟・ 採集 の時代であり、自分たちが食べるだけを取る生活をしていた。

♣ つまり、:(動物生活) = 「空腹に応じて働き、空腹に応じて取る」 (腹が減ったら餌を取りに行く) という時代であり、取るものはタダであったが作業はラクではなかった。今のゴリラやチンパンジーと同じレベルだ。日本では 「縄文時代」 が これに対応するだろう。

♣ 次の時代は ずっと人間らしくなり、狩猟・ 採集 から 定住・ 農耕 の時代に移った。人々は食べる量よりも多くを (技術の獲得によって) 生産することができたので、直接農耕に従事しなくても生きて行ける人が発生し、敵から自分たちを守ることを職とする王様や天候を祈る神職等が発生した。つまり 社会は :(命令生活) = 「(人々は) 命令に応じて働き、(王は) 権力に応じて取る」 (強い者が弱い者に餌を取りに行かせる)時代に変わった。人類の大部分の歴史はこの基準で働いた。

♣ 数千年の歴史を経て、より合理的なシステムが工夫された。それが :(社会生活) = 「能力に応じて働き、労働に応じて取る」 (必要な餌を必要なだけ取る) という近代社会であり、日本では 社会制度としての士農工商が明治時代に廃止されて以後 まだ 150 年ほどの歴史である。

♣ これは良いシステムだとして受け入れられている。しかし、別な社会主義国では政治革命がおこり、その結果 :(共産生活) = (労働の有無に関係なく、必要な餌は要求する)というシステムも起こった。このシステムは 「必要」 が拡大解釈される問題があり、しばしば 「働かなくても、タダ取りは当然」 となり、コスト意識が希薄になってきた。

♣ 19 世紀から 20 世紀にかけての欧米の植民地政策では他国からモノをタダ取った。だが、この 「タダ 取りの搾取システム」 はやがてコケてしまった。日本でも昭和 48 年( 1973 年)、老人医療費を タダ にしたところ、「医療が タダ なら受けにゃ損々」 と言うモラル・ハザードによる混乱で、タダ の制度が破産した経験がある。

♣ 「 タダほど有難いものはない」 は誰しも思うが、「労働」 ~ 「生産コスト」 の関係を考えず、「分配」 の方法ばっかりを考えると、社会がコケてしまう。つまり 「タダほど高いモノはない」 結果となる (図 1)。

♣ さて、ここからが私どもの大事な 「タダ と ラク のひみつ」 だ。「高齢者が (老後に) 長生きする原理」 は諸生命の歴史に中で、人間だけに見られる ―― 天然生活の動物には、前回 申し上げた通り老後の生存はない。ヒトに近いチンパンジーでさえ、50 歳まで子を産み育てたら やがて世を去るのだ。上記の生活様式 ① ~ ④ 動物的・ 命令的・ 社会的・ 共産的) で大事な共通要素は 「働くこと」 であろう。

♣ でも、多くの高齢者は働く体力がない ―― ラク しかできない。どのようにして生存のための 「必要経費」 を調達するのが良いだろうか?「空腹に応じて?」、「必要に応じて?」、どれがあなたに一番しっくり来るか?

♣ 私どもが知っている諺 (ことわざ) は 「働かざるもの 食うべからず」 であり、 “空腹に応じて タダ で ラク に取る” は、大問題である。実際、働かずに保護を求める人たちは、福祉の領域でも多い。

♣ 老人保護については、「蟻とキリギリスの問題」 を出す人もある。蟻は冬の寒さが近づいたとき、空腹なキリギリスに餌を与えることを拒んだ ―― 働かざる者 食うべからずだからだ。

♣ しかし現実は、単なる保護の問題ではなく、増加してきた “老人の数” ではないか? (図 2) … 昔の高齢者は人口の 4 % 足らず、今は 7 倍の 28 %、やがて 40 % になる。つまり、お年よりが 「必要に応じて取る」 選択肢を取るのであれば、ラク する人が 4 % から 40 % に増えるから、社会全体の需要供給のバランスが失われてしまう。

♣ 仮に社会的貢献が少なくても、高齢者の保護は必須である、なぜって憲法 25 条には 「生存権の保障」 があり、国民一人ひとりの 「福祉と人間性の尊厳」 は尊重すべきだからだ。“タダの ひみつ” は 「元気で長生き」 という人々の願望にも表現されているが、なにせ タダ で ラク する老人が 4 % から 40 % に増えれば、市場原理も安定困難となろう (図 2)。

♣ 昔、社会が極度の貧困に喘いでいたころ、私たちの平均寿命は 40 歳代くらいであり、人がタダでラクして長くは生きることはできかった。しかし今は違う。日本人には他の動物には存在しない独特な敬老の精神があり、我々は老人を タダ で ラク させてあげることを誇りに思う。だが 「建前」 の上でそのように威張ってみても、「本音」 で現実の累積赤字をどう処理すればよいのか?

♣ タダ と 混乱 は対句になっているように思える … 心身の老態の中で、「タダ と ラク」 を維持する秘密は 永遠の問題なのかも知れない。1998字

要約:  人間は 「楽」 を求めて 「勤勉」 に働き、いろんな社会形態を経験した。 昔 老人人口は 4 % に過ぎなかったものがいま 7 倍の 28 % に増え、さらに 40 % に向かって増えつつある。そのうえ 増えた老人は 働くための 体力・能力 に欠ける ―― どうすれば老人に 「楽」 な人生を歩んでもらえるか? 所詮 それは無理であり、若者は必死で働くけれど、老人の 「楽」 にも限度があることを知っておきたい。

職員の声

声1: 戦争で苦労した現代の老人を大切にするため国はもっと頑張ろう(答: 兵士が大量に失われ苦境に立たされた社会事情は 「日清・ 日露戦争」 でも同じだったが、今回の 「第二次大戦」 の場合は、銃後の成人寿命が 40 年も延び、社会が異常に老化した特別な事情がある)。

声2: 私は 「今」 を頑張るが、自分の 「老後」 は ラク して生きていきたい(答: もちろん それは正直な意見だが、ラク する人が 4 % から 40 % の負担増に伴って 以前のように 贅沢な ラク はできなくなっていく)。

声3: 苦を苦とも思わず ラク と思えば おのずと人生は楽しくなる(答: 楽を追えば楽は逃げて行く、苦から逃げれば苦は追いかけてくる……と似た警句だ…..今の問題は 「苦 楽」 ではなく、タダ で ラク して平気の平左の人たちを問題にしている)。

声4: 「多々老」 が ラク をされると 「少子」 が泣きます、ラク したかったら貯蓄して自分でヘルパーを雇って下さい(答: 昔は 「少老多子」 で 「老人大切」 の倫理で行動したが、今は完全に逆転した 「多々老少子」 の実態、ラク したいと思う多数の高齢者は 少数の若年者をいたわってください)。
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ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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