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(783) 漢 方 薬 と は ?

(783) 漢方薬とは?   

漢方医学とは、古代中国医学の影響を受けた 「日本の医学」 である。よく勘違いされるが、「漢方」 は 中国( 支那) 方 ではなく、「日本方」 (にほんほう) である !!

♣ 伝統的な日本には 金創医 (きんそうい)、御殿医・ 民衆医 があった。金創医 は刀の傷を治す医療者であって、卑しく貧しい身分の職業だった。御殿医は貴い方の病気を 「おまじない」 によって治す高級医だった。民衆医は 「体質と証」 (しょう) によって 「生薬」 を処方して病を治す仕事に従事していた。

♣ 「しょう」 とは 「症状の組み合わせ」 を意味し、たとえば 「頭痛・ 発熱・ 咳の組み合わせ」 などである。いずれの医療も基本的には伝統的な 「おまじない」 によって病気に挑む方法であり、その原理は、科学的な 因果関係を重視する現代医療とは比べられない。

♣ 1877 年( 明治 10 年 )、西郷隆盛 と 日本政府 の間で 「西南戦争」 という戦いがあり、死傷者は 1 万人を越えた。従来の武士の 「こぜりあい」 なら 10 人とか 20 人の負傷者の始末をするだけだったが、鉄砲傷を含む 何万人の手当ては、日本では経験がなかった。

♣ そこで、政府は、傷病者の手当てをする人たちの 「手つき・ 考え方」 を観察し、「漢方はダメだ、洋法を用いよう」 と決め、以来、日本は 洋法医学で統一 された。洋法の裏には “まじない” ではない “科学” があったからだろう。なお、看護の重要性をも認識し、1886 年 (明治 19 年) には日赤看護婦の養成を開始した。

♣ そもそも 「科学」 は 西洋の暇な旦那衆が趣味として 「理論ごっこ」 を楽しんだ芸であり、その歴史は今から 2500 年前の古代ギリシャ時代の ターレス に始まる。日本では和歌や俳句が旦那がたの趣味だったが、西洋では 「自然哲学」 と称して 「科学する芸」 が普及し、鉛を金に作り変える 「錬金術」 (れんきんじゅつ) などが ほんの 150 年まえまで研究されてきた。

♣ リンゴ が枝を離れて地面に落ちる、でもナゼ?と考えた アイザック・ ニュートン は、旦那芸としての自然哲学を応用して、「重力と質量の数学」 という論文をラテン語で発表し、現在の惑星探査科学にも繋がる偉業を成し遂げた。

♣ ちなみに、ニュートンと、日本の俳諧の祖である 松尾芭蕉 は 同じ 1644 年生まれだが、片や 国際的な 「重力と質量の科学」 、片や国内的な「 わび・ さびの文芸」 の違いを示し、どちらも天才でありながら、後世へ受け止め方はずいぶん違った。

♣ 科学が旦那衆の 「趣味」 から 「実用」 になった 初めての事件が、ベンジャミン・ フランクリン の 「雨雲の中に凧 ( たこ) を上げる実験」 だった( 1752 年 )。これによって、旦那衆の趣味であった 「雷は電気である」 という発見が、教会の塔の上の 「避雷針」 という実用に発展し、アッと言う間に 欧米が科学的事実を日常生活に応用する技を磨き始め、旦那衆の趣味が実用的な産業革命の幕開けに繋がった。

♣ 話を元に戻す。漢方は上記のように 「証」 (しょう) という手法で病に迫る。ところが この方法は個人的であって、関係当事者に効くかもしれないが、病の 「原因治療」 ではない。

♣ その上、「中国方」 薬の粋とされる 「犀の角・ 人の化石」 などは なぜ病気に効くのか 想像できるだろうか?(= 希少で高価だから)。チベット地方で採取される 「冬虫花草」 (とうちゅうかそう) は ナゼ珍重されるのでしょうか? (= 珍しいから)。その効能は科学では説明できない。こんな話題が日本の漢方の足を引く。

♣ 盲検どころか、難病などの場合、「溺れる者 ワラをも掴む」 だから、漢方がしばしば出番となる。これに対して、洋方は 「因果関係」 という手法で問題を解く。簡単に言えば、洋方は 「二重盲検法」 で有効であれば 「効いた」 と判定する。他方、漢方は二重盲検法が不可能だ; なぜなら漢方薬は幾種類かの成分混合薬であり、そのうちの一つを取り出して調べることは出来ない。

♣ 明治のお役人が西南戦争の傷の処理法で納得したように、洋法は人の心を科学的に、個別的に納得させる。これに対し、漢方は人をふんわり包んで治してくれる。

♣ ふんわりの例―― 私は子供の頃、転んで手に擦り傷を負い、泣いた。それを見た私の祖母は「 親のつば 親のつば」 と唱えながら 自分の指につばを付け、私の傷をさすった。私はビックリして祖母の顔を見つめ、傷はすぐ治ったと記憶している。科学で効くのか、愛情と習慣で効くのか、要するに 「効けば」 よかろう ―― そう、効くことが本質だ。

♣ 日本は昭和 40 年代の黄金時代に 「カネ余り」 を経験し、余裕があったので 「二重盲検法」 の適用ができない 「漢方薬」 も健康保険に採用されるようになり、今では市民に愛される時代になった。

♣ 最後に一言: 薬が効くとは案外に難しいものである。 1950字

要約:   漢方とは中国からの処方のように聞こえるが、これはほぼ純粋に日本独特の薬である。 漢方は元来 生薬 (しょうやく)と呼ばれる動植物の材料を煮詰めたエキスであったが、使いやすい粉末に作り直されて多用されるようになった。 漢方は常に混合薬の成分であるため 「二重盲検法」 が出来ず、 主に日本国内で愛用されている。

職員の声

声1: 漢方が日本独特の薬とは知らなかった … プラセボ効果はないのか?(答: 漢方は 「二重盲検法」 が効かないので そもそもプラセボという発想はなく、かならず 「効く」 という堅い信念が必要である)。

声2: ナゼ漢方に保険が効くのか? 欲しければ薬局で買えばよい、認知症に 「抑肝散」 がよく処方されるが全然効いていないよ(答: 全世界的に認知症に効く薬は無い…かと言って処方がなければ手持無沙汰と思う人があるからでしょぅ)。

声3: 漢方の幾ばくかは科学的な有効根拠があるのか?(答: 効能書きには 「根拠あり」 と書いてあり、好事家にとっては有難い薬なのである)。

声4: 漢方が廃れていないのは 「一定の効果」 があるからであろう(答: その通りと思われるが、ではナゼ日本人だけに効くのだろうか?)。

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ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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