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(69) 貧困とユートピア

(69) 貧困とユートピア 
  
私はかってドイツの福祉施設を訪問したとき、とてもキビキビ働いている若者たちが あまりに若いので年齢を聞いてみました。すると、その子たちは 18~19歳と答えました。若いのにはわけがありました。ドイツには「兵役の義務」がありますが、個人の信条により「兵役を拒否」することができ、その場合には、福祉施設で兵役期間を代替可能ということでした。日本は原爆以後65年間、戦争による死者を一人も出していません。どちらの国もすばらしいことだと思います。

♣「貧困」について、福祉の現場で日々を過ごす私たちの立場で考えてみます。貧困とは、主に経済的な理由によって生活が苦しくなり、必要最低限の生活もおぼつかない様子を言います。しかし、どんな状態を貧困と言うのか、実際の判定基準は様々です。たとえば、猿や狼に住む家はありませんが、貧困問題もありませんね。同じく、文明発達以前の人の歴史には貧困問題はありませんでした。つまり、貧困は「人間の脳」がこしらえたもの のようです。人間の歴史が始まっても、貧困が「問題だ」とは思われませんでした。だって、世の中には空腹な人が沢山いたし、戦争で死ぬ兵士がいるのも日常のことでした。そんな中で イギリスのトマス・モアが、やっと16世紀になって「ユートピア」(理想郷)を発表したのは、「もしこの世に苦労なかりせば」という豊かな発想があったからこそでした。

♣ 貧困は歴史的事実ですが、それが はっきり「不当である」と位置づけられたのは、やはりフランス革命のモットー「自由・平等・友愛」からではないでしょうか。基本的に「平等であるべき」という自由思想が発達したからこそ、あなたの痛みは私の痛みにもなったのです。猿や狼にはない、人間的な感覚です。

♣ しかし、政治の問題で「貧困率などの指標」で所得を統計的に見ると、平等・均等からほど遠く、10%前後(±2σ)の低い収入域は貧困レベルと想定されるので、貧困域そのものを無くすことなど できません。このことは、統計でいう「頻度分布」の図を頭に描くとお分かりになるでしょう。

♣ そのうえ、人間の欲望はとどまることを知らず、生活レベルがいくら上がっても、それは すぐ「当然」とされ、社会の「統計上の貧困」は消えません。これはお金をかけて解決できる問題ではありません。ユートピアでは、人は死ぬことなく 貧富の区別もなく 争いもない理想郷でした。私に言わせてもらえば、「統計的に全員均等な郷なんてムリ」です。区別もなく均質であれば、それは生命の領域ではありませんね —— もっとも、トーマス・モアの描くユートピアは、厳然とした階級社会のようでしたけれども。

♣ 私は、貧困とは心の舵取り次第で裕福に感じられるし、理想のユートピアであっても いざ住んでみれば、貧富の差があるこの世と同じだ、と分かるのではないか と思います。大事なのは、物ごとを正しく判断する能力、つまり“良識”(ボン・サンス)なのでしょう。

職員の声

声1: この世にユートピアという国があるの?(係り:16世紀には“ある”と思われたのでしょうが、今は物理的に存在場所がないと判明しています;昔は「天国・地獄」なんて無い、と言えば「火あぶり」にされたので、ユートピアも信じられたのでしょう)。

声2 : 原爆・終戦後の日本は貧困でしたが、希望に満ちていました;今は衣食住が足り、エアコンまで付いていますが、心はトゲトゲしいです。

声3:貧困か否かは 心の充足に関わる問題だと思います:マザーテレサ ガンジー 西行 良寛さんは貧困とは思えません。

声4: その方が目の前に生きていらっしゃる、というだけで 心が充実し、私は幸せなエネルギーを貰います、介護のお仕事はやめられません。

声5: 高齢になって介護保険だけでは不安です;若いうちから自分のことは自分で守りたい(係り:あなたが「清く 正しく 美しく」生きれば、あなたは「金寿(120歳)**に達する幸せを得るでしょう;そのためには、煙草や深酒 大食いや 出し抜き・猜疑(さいぎ)のたぐいを避けましょう)。 

 * 参照:パールの安全管理 #19:天国と地獄  **参照:パールの安全管理 #22: 金寿のひみつ
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ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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