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(753) 老 後 が 心 配

文字色  (753) 老 後 が 心 配

「錯」 は “乱れ誤る” こと、つまり、後で誤りに気付くこと ―― 初めは 「真実」 と思ったのに、あとで 「間違い だった」 ことを知覚するのが 「錯覚」 であり、誤りの原因をあれこれ詮索するのが 「錯誤」 である。錯覚と錯誤の例を 述べてみよう。

♣ よく似た兄弟のうち、「弟」 を見て 「兄」 と見間違えることって 時にある。これは日常の言葉で 「錯覚」 (さっかく) と呼ばれる。

有名な錯覚の例: ニュートンは考え事をしながら手元の卵を茹でた と思っていたのが、実は自分の「懐中時計」 を茹でて しまった、という笑えないエピソードがある。上 (うわ) の空で考えていたので、時計を卵と錯覚した結果だったのだ。

♣ 兄弟を見誤ったたり、時計と卵を間違えたりの場合は単純な現象であり、「錯覚」 である。

♣ ところが 世の中には、事前も事後も 真実 であるにもかかわらず、その 「真実」 が たくさん重なり合うと 「真実ではなくなって 誤った判断 = 錯誤と言うべき」 となる ケッタイな社会現象も観察される。それが 今日のお話の 「合成の錯誤」 1) なのである。

♣ その例を挙げると: 早起きは三文の得 —— あなただけが早起きするなら “三文の得” になるし これは真実、しかし世の中 全員が早起きするのなら 真実ではなくなってしまい 錯誤 となる。 だけれど錯誤は 「嘘」 ではない ―― この言葉を言う前でも、言った後でも中身が 「真実」 であることは変わりないからだ。

♣ 社会現象はこのように矛盾に満ちたものだということを学ぼう ―― ひところ小学校の運動会で流行した 「みんなで手を繋いで一等賞」 は 誰かの愚かな錯誤であって、全員一等賞なんてあり得ないのである。

貯蓄は 美徳 —— これこそ典型的な 「合成の錯誤」 だ。もし あなただけが貯蓄するなら これは真実であろう; だが諸銀行が国民に勧めるように、社会の全員が貯蓄を増やすと、消費が減り世は不景気になって美徳とは言えなくなる; つまり、個人にとって良いことであっても、社会の全員が同じことをすると 結果は逆 になり、再び “錯誤” の例となる。困ったことだね !

浪費は悪徳 —— もし浪費を減らして節約に励めば 有効需要が減るし、不況が深刻化するから 節約って良くないのでは? むしろ浪費はお奨めだろう?つまり 不況時には 「浪費は悪徳では なく 美徳」 であり、またもや 逆の結末となってしまった。現在の “モノ余りデフレ” は まさに このことを言い当てている。

♣ え? 貯蓄も浪費も問題あり? 銀行や百貨店は 「嘘」 を宣伝しているのか? ―― いや そうではない … インフレは怖いし デフレも願い下げだ … つまり貯蓄も浪費も 「ほどほどが良い」 ことを教えている。

♣ 「合成の錯誤」 は 福祉の世界でも 堂々と成り立っている。例を挙げると: 老後が心配 —— 不景気だから お金を銀行に預ける —— でも国は不景気防止のために消費して欲しい —— 日銀は預金防止のために金利を 0 % に下げたが 人々は更に貯蓄を増やす —— 諸銀行は借り手が少ないから、そのお金を政府に貸す、しかし政府は 儲けの発生しない 行政に支出する だけで、利益を生まず、物価は上がる。

♣ だから 40 年後に使う預貯金の価値は低下するばかり 老後の安心は確保できない。かくして景気の 「失われた30年」 は これから 「失われる40年」 になる怖れがある —— これが デフレ・ スパイラル の構造であるが、どこかで この悪循環を断たねばならないだろう。

元気で長生き —— これも 「完全な合成の錯誤」 なのだ。あなたは 長生きしたいけれど、もし みんなが元気で 122歳 2 ) になったら日本は大混乱 になるでしょうが —— ほどよく逝って下さい、 が真実ですかね? しかし錯誤は 「嘘」 ではない ――この言葉を、言う前でも言った後でも、 「真実」 であることは変わりないからだ。

♣ 徳川・ 八代将軍 「吉宗」 の時代、江戸は 「節約令」 、名古屋は 「浪費令」 ; どちらが正しかったのか分からないが、結局 江戸幕府は倒れた: ある自動車会社の会長が言っていた座右の言葉を思い出す―――結局、無駄を省いて贅沢をせよ … ムダもゼイタクも両方必要、そのバランズを取れ、ということですかね.

♣ 今日のお話を併せ考えると、「老後の過誤」 を理解して実行できる人は ごく少数の人だけだから、他人が何と言おうと ① ~ ⑦ のような「真実」を選んで しかも 必ず一人で実行 する事をお奨めする。マスコミの雑音を気にしてはダメですよ !! 1840字

要約: 日常生活でちょっとした勘違いは 「錯覚」 であり、複雑な意味合いがある場合は 「錯誤」 と呼ばれる。 錯誤の例を幾つか示したが、私らの生活の中で オヤ? と思う錯誤が多いのに驚く。 錯覚はすぐ訂正できるが、錯誤は社会的不安を誘うことも少なくなく、その意味を良く考え直し、個人的に間違いのないことを確認する必要がある。

参考: 1) “老後の錯誤”は Fallacy of Composition の訳語。Fallacy = 錯誤・誤った推論(誤謬);Composition = 言葉や物の合成・混成。  2) ギネス・ ブックの最長寿者:ジャンヌ・ カルマン さんは フランス人女性、122 歳で 1999年没。

職員の声

声1: みんなが手を繋いで一等賞」 は説明を受けるまでもなく 「錯誤」 だと分かる ... では 「みんなが手を繋いだように貧乏」 はどうか? (答: 貧乏人のほうは数が多いし みんなが望む状態でもないから、錯誤ではなく、単純な実態を表すだけ)。

声2: 貯蓄は美徳」 は やはり 「美徳」 で良いのでは? (答: 貯蓄って得たお金を使いたい気持ちを無理に抑えて行うものだから その心根 (こころね) を褒めて 「美徳」 と言われるが、確かにみんなが貯蓄に励んだら社会に金が回らず不景気の風に吹きさらされてしまうよね。

声3:浪費は悪徳」 は 間違いなく 「無駄遣い」 だから悪徳ですよ (答: みんなが無駄をせずに節約に勤めれば、やはり社会にお金が回らず、世の中は不景気でさびれえしまう。しかし 「貯蓄」 も 「 浪費」 も 「みんな」 ではなく 「個人だけ」 がすれば正しい標語となる)。

声4:老後が心配」 って、老人を可哀そうがる表現に過ぎない。(答: 人生って 「心配」 を言い始めたら 「受験が心配・ 就職が問題・ 結婚できるか?・ 元気な子が産まれるか心配」な どなど 「人生 心配だらけ」 で 「合成錯誤の問題」 に過ぎないよ。

 要するに、主語が誰か?という問題なのである。主語が 「私」 であれば、「早起き」 は間違いなく 「三文の得」 になるのであって、合成の錯誤に騙されなくて済む。
プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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